手や足の先だけが冷えて困った経験をしたことはありませんか?
その症状、実は末端冷え性の可能性がとても高いです。特に若い女性に多く見られるのが特徴です。
なぜ手や足先だけ冷えるのか、末端冷え性の原因と対策をお伝えいたします。
1. 末端冷え性(四肢末端型)とは
末端冷え性とは、体温を測っても低くはないけれど、手先や足先だけが冷たく感じる症状のことです。冷え性の一種で、特に若い女性に多く見られます。体自体は温かく、手足以外の所を他人が触ってもさほど冷たくないこともあります。
後の章でお伝えいたしますが、その他にも冷え性には4つのタイプに分けることができます。
<コラム ~冷え性と低体温の違いは~>
「冷え性」は、人が寒さを感じない程度の温度環境で、手足が冷えて、つらいと感じる自覚症状のことです。一方「低体温」は、深部体温(脳や内臓など身体内部の温度)が下がってしまうことをいいます。もちろん実際の体温が低くて冷え性につながる場合もありますが、体温が低くなくても「冷える感じが強い」方はたくさんいます。低体温症になると、さまざまな臓器が正常に働かなくなってしまいます。低体温症は注意が必要になってきます。
自分が低体温か冷え性なのかは、より中心部分の体温を測定する機械を用いるとわかります。中心温度は「直腸」「鼓膜温」「舌下温」「腋か温(わきの温度)」の順です。中心温度であるほど温度は高くなります。中心温度でも35度台の方は「低体温気味」といえますね。
1-1. こんな症状ありませんか?
<結果>
0 個:問題なし
1~3 個:要注意
4~6 個:冷え性対策が必要
7~10 個:治療が必要な冷え性
11 個以上:かなり重症な冷え性
2. 冷え性の原因
冷え性の主な原因は血行が悪くなることで血液が毛細血管に流れなくなってしまうのが原因です。
血管が収縮してしまうことによって、手足が冷えてしまいます。手足は心臓から遠い位置にある上に、身体が重要な臓器のある胴体や脳へ血行を確保するため手足の先は後回しになり冷たくなります。
<コラム ~しもやけ~>
寒暖差によって血行が悪くなり炎症を起こす疾患です。医学用語では「凍瘡」と書きます。血行が悪くなり炎症をおこした部分は、痛みやかゆみを伴いながら、赤紫色の皮疹がでてきます。冷え性の方も、低体温症の方のほか、遺伝的要因と発汗が多い方もしもやけになりやすいことが分かっています。
2-1. 冷え性になる様々な要因
冷え性の原因には他の要因がかかわっています。それぞれご紹介いたします。
2-1-1. 筋力の低下
運動不足が続いてしまうと筋肉が劣れてしまい、血行が悪化します。とくにふくらはぎは血液を心臓に戻すためのポンプとして機能している為、ふくらはぎの筋肉が落ちてしまうとポンプ機能も衰えてしまいます。その為、身体の隅々に血液がきちんと送られず、手や足先から冷え性になる可能性があります。
2-1-2. 基礎代謝の低下
生命活動を行うのに欠かせない、必要最低限のエネルギーを「基礎代謝」といいます。基礎代謝が低くなると体温が低くなり、冷え症が起きやすくなります。
2-1-3. 食生活
栄養バランスが偏った食習慣が続いてしまうことでミネラルやビタミン不足になりやすく、血の巡りが悪くなります。ビタミンの中でも鉄分は重要になります。鉄不足で赤血球が減れば、体の隅々まで酸素を運ぶ力が弱まることで、血行不良を引き起こし、冷え性になってしまう結果不足は冷え症を引き起こしてしまいます。
2-1-4. ストレス
緊張すると普段より動きが鈍くなりぎこちない動きになります。それは筋肉が硬くこわばっているからです。筋肉が硬くなると血管を圧迫し、血行が悪くなり血行不良が起きます。その為、血の巡りが悪くなり冷え性になりやすくなると言われています。
2-1-5. 自律神経の乱れ
身体の体温をコントロールしているのは自律神経です。近年はエアコンなどの影響で季節関係なく、快適に室内で過ごせるようになった結果、気温に対する感覚が鈍くなり、自律神経が乱れやすくなっています。自立神経の乱れにより、腸の運動も自律神経によって左右されものです。そのため自律神経が乱れると下痢・便秘も起きやすくなり、基礎代謝も低下してしまい、冷え症へ繋がってしまいます。
2-1-6. 喫煙
タバコに含まれるニコチンには、血管収縮作用があるため血行不良の代表的な原因になります。繰り返しになりますが、血の巡りが悪くなり冷え性になりやすくなります。
2-2. 冷え性になる原因は男性と女性また子供、赤ちゃんでも違いがあります!
男女ともに冷え性の割合をアンケート取ったところ女性は約7割以上、男性は約4割の人が冷え性で悩んでるという結果になりました。また最近では子供や赤ちゃんの冷え性で悩まされている方は多いかと思います。
2-2-1. 男性の場合
男性も決して少なくないのが冷え性の悩みになります。
男性の場合は加齢による筋肉量低下や、臓器などの老化によって基礎代謝が下がり、冷え症になるケースが多いです。男性の冷えは手足などの末端の冷たさだけでなく、頻尿や腰痛、肩こりといった症状で気づくことがよくあります。
2-2-2. 女性の場合
女性は男性に比べて筋肉量が少なく、一般的に脂肪が多いといわれています。筋肉は体温の上昇にとても大きな役割を果たしていますので、筋肉が少ないと冷えやすくなります。加えて女性には冷えてしまうと温まりにくい性質を持つ脂肪が多いため、冷えが起こりやすいのです。
内臓が冷えることによる冷え症をおこします。また、月経時の血液不足によって手足などの末梢まで、血液がいきわたらなくなり熱が届きにくくなるので、冷えの症状が出ます。さらに、ホルモンバランスが変わると自律神経が乱れ、冷えやすくなります。そのため、更年期に冷えが現れる女性も多いのです。
そのほかに、寒い場所でのスカート着用による下半身の冷えや、締め付ける下着や衣類の着用による締め付けも血行を悪くするため冷えがおこります。 これらが女性に冷えが多い原因になっています
2-2-3. 子供の場合
子供は「風の子」という言葉を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。しかし近年では、手足の冷えを訴える子供が増えています。理由としては、温かい住まいや衣服等昔よりも恵まれている環境で過ごしすぎている為、気温の変化に対応する能力が乏しくなっていることがあげられます。また近年の子供たちはたくさんの情報社会で生きています。それに加え、習い事や塾等大人が想像しているよりもはるかにストレスを抱えています。先ほどの2つの理由から自律神経を乱し、その結果、手足などの体の末端や下半身から冷えていくのです。
2-2-4. 赤ちゃん
赤ちゃんの手足が冷たくなる原因は2つあります。
1つ目は大人に比べて皮下脂肪が少なく外気温の影響を受けやすいためです。皮膚から体温が逃げやすいため、特に冬場など寒い季節に室温が低いと、手足の温度もそれに合わせて低くなります。
2つ目は大人と比べて手足がより体温調整の役割をもっていることです。体温を上げる場合には、手足の毛細血管を収縮させて体の中心に血流を集める働きがおこることで、手足が冷たくなることもあります。こういったことから、赤ちゃんの手足が一時的に冷たくなることはふつうのことであり、心配はいりません。
3. 冷え性の種類
先ほどご紹介した手や足先の末端冷え性(四肢末端型)の他にも冷え性は3つの分類に分けることができます。
3-1. 下半身全体が冷えるタイプ -下半身型-
姿勢の悪さや長時間のデスクワークなどが原因で起きやすいです。骨盤のゆがみが原因で下半身の血行不良が起きてしまい、冷え症になるタイプです。
3-2. 全体が冷えるタイプ -全身型-
基礎代謝の低下が原因で、身体全体が冷えてしまうタイプです。おもに倦怠感や風邪をひきやすい、すぐお腹を下すなどの症状が見られます。ほかの症状と比べ、手足の冷えはさほど目立ちません。
3-3. 内臓が冷えるタイプ -内臓型-
自律神経の異常が原因で手足の血管が収縮できなくなり、内臓に血液が行き届かなくなるため、内臓が冷えてしまうタイプです。おもにストレスが原因で起きやすい冷え症だと言われています。 このタイプは手足の冷えが発生していないケースもあるので、冷え症と自覚できないことがあります。しかし下痢や倦怠感、風邪などの症状を見つけましたら、このタイプの冷え症だと考えても良いです。
4. 冷え性の対策
先ほど4つの分類に分けてそれぞれのタイプ別改善策をご紹介します。
4-1. 四肢末端型の対策方法
体の中でもっとも多くの熱を生み出す筋肉をつけるために、毎日の生活に運動やストレッチを取り入れることをおススメします。 また、しっかり食事をとることも大切です。 特にたんぱく質は、食事誘発性熱産生( 食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること)の高い栄養素のため、タンパク質が豊富に含まれている鳥ささみ、牛もも肉、豚ロースなどを積極的に摂取することをおすすめします。四肢末端型の場合、厚着やカイロなどで外側から体を温めても、一時的にしか冷えは改善しません。
注意点として、食事制限をメインとした過度なダイエットは控えましょう。持病などで医師から制限がないのであれば、熱を生むたんぱく質を積極的にとる食生活を実践してみてください。
4-2. 下半身型の対策方法
座り仕事などによってお尻の筋肉が硬直しているケースが多い下半身型の冷え性は、お尻の筋肉をほぐすタイプのストレッチを行うことがおすすめです。「梨状筋」と呼ばれるお尻にある筋肉をほぐすことで、血流改善が期待できます。その他にも下半身浴を行い、代謝を良くすることもいいでしょう。
4-3. 全身型の対策方法
全身型の冷え性の場合は「食事量」、「睡眠」、「保温」の3つ対策があります。まずは食事量ですが、熱を生むタンパク質を積極的に取る食生活を実践してみてください。次に睡眠ですが、夜型生活や徹夜は避け、夜はきちんと休養の時間を確保しましょう。最後は保温になります。全身型は身体の内外どちらも冷えている状態です。重ね着や温活グッズなど外から温めることにも配慮して、きちんと保温していきましょう。
4-4. 内臓型の対策方法
内臓型の冷え性の場合は「食べ過ぎないようにする」「厚着をしすぎない」「白湯を飲む」の3つの対策になります。食べ過ぎは発汗しやすくなるため、かえって体を冷やしてしまいます。厚着は汗をかく原因になります。汗をかいて体を冷やすリスクを回避しましょう。最後に白湯を就寝前に飲む事です。白湯を飲む事で内臓が温まり血行が良くなるので冷え性改善にもなります。寝付きも良くなる効果もあると言われています。寝る30分以上前にじっくりと時間をかけてコップ1杯の白湯を飲むのがおススメです。
5.まとめ
いかがでしたか。冷え性には大きく分けて4タイプに分類されます。「四肢末端型」は手や足先が冷える症状のことで、日々の生活に運動等、身体を動かす習慣を取り入れタンパク質を多く取り入れることで改善されます。「下半身型の冷え性」は座り仕事が多い人がなりやすくお尻の筋肉が硬直しているケースが多いです。お尻の筋肉をほぐす事で改善されます。「全身型の冷え性」は食事量、睡眠、保温の3つが重要になってきます。タンパク質の多い食事を心掛け、徹夜を避けしっかりと睡眠して、身体の内外をどちらも温めるようにしましょう。「内臓型の冷え性」は、食べ過ぎない事、厚着をしないことを心掛けてください。汗をかくことによって身体が冷えてしまうことを防ぐためです。白湯を飲む事をおススメします。それぞれに対策がありますので参考にしていただけましたら幸いです。