第16回 日本人のポリフェノール摂取量に関するウワサの真相
2024年8月30日に日本ポリフェノール学会第17回学術集会がオンラインで開催されました。今年度のポリフェノール学会は九州大学で開催される予定でしたが、台風の影響で急遽オンラインでの開催となりました。現地で参加発表できなくなってしまったことは少し残念に思います。
今回から3回は、今大会の講演で発表された演題を中心に紹介、解説をしたいと思います。
ポリフェノールとは
ポリフェノールは、植物が光合成をおこなうときにできる化合物の総称で、多くの植物に含まれ、自然界には8,000種以上ものポリフェノールがあるとされています。
ポリフェノールは、苦味・渋味・色素の成分です。そのため、コーヒー・緑茶・赤ワインといった、苦味や渋味が強く、色が濃い飲料に多く含まれています。
ポリフェノールはどれも、抗酸化作用が強いことから生活習慣病予防などさまざまな効果が期待されています。
抗酸化作用とは、体内で発生する活性酸素を減少させたり、発生した活性酸素を取り除いたりする効果のこと。この働きによって生活習慣病など各種疾病の予防に効果を発揮します。
アカシア樹皮抽出物にもプロアントシアニジンと呼ばれるポリフェノールが多く含まれています。
日本人のポリフェノール摂取量は約1g/日
これまでにもさまざまな研究方法でポリフェノールの総摂取量の調査が行われてきました。
その結果、日本人のポリフェノール摂取量は約1g/日程度。摂取源としては緑茶、コーヒーなどの飲料からが多いとされています。ヨーロッパなどのポリフェノール摂取と比較すると、ヨーロッパではコーヒー、紅茶などのも多いですが、果物類摂取による寄与も高いことが報告されており、国によって摂取源が異なることがわかります。
これらの結果は日本人が野菜や果物の摂取量が少なく目標の1日の野菜摂取量350 gに届いていないことと合わせて、野菜や果物からポリフェノールを積極的に摂取してくことが必要かもしれません。
まとめ
ポリフェノールの摂取源として茶類やコーヒー等の寄与度が高く,飲料の利用は摂取を推奨するうえで一つの有効な手段であることがわかりました。一方で、日本人の野菜やくだものからのポリフェノール摂取量は多くありません。現代の日本人がなかなか摂取目標(350 g)に届かない野菜や果物にポリフェノールが多く含まれることは、野菜摂取量とポリフェノール摂取量の確保の2つを同時に叶えるポイントでもあるかもしれません。
1. 岸本良美 日本人における摂取量調査から分かってきたポリフェノールと健康との関わり 日本ポリフェノール学会 第17回学術集会 プログラム抄録集 p17