揚げ物の添え物やサラダ、炒め物やスープ等様々な料理に使われているキャベツですが、皆さんはその栄養についてはご存知でしょうか。広告などでキャベツ○○個分の食物繊維等、紹介されることもあるため、何となく食物繊維が豊富なのではないかなどの認識はしているかもしれませんが、それ以外はどのような栄養が含まれているかはよく知らないのではないでしょうか。今回はキャベツの栄養について紹介していきます。
目次
1.キャベツの栄養の含有量
一言でキャベツといっても様々な種類があります。代表的なキャベツの100gあたりの栄養とその含有量をまずは紹介していきます。
1-1. キャベツの主要な栄養成分の紹介
|
キャベツ |
春キャベツ |
紫キャベツ |
芽キャベツ |
単位 |
エネルギー |
30 |
20 |
23 |
50 |
kcal |
水分 |
90.4 |
93.4 |
92.7 |
83.2 |
g |
たんぱく質 |
2 |
1.4 |
1.3 |
5.7 |
g |
脂質 |
0.1 |
0.1 |
0.2 |
0.1 |
g |
炭水化物 |
6.7 |
4.3 |
5.2 |
9.9 |
g |
灰分 |
0.8 |
0.7 |
0.5 |
1.1 |
g |
飽和脂肪酸 |
0.01 |
0 |
0.02 |
0.02 |
g |
不飽和脂肪酸 |
0.01 |
0 |
0.03 |
0.06 |
g |
コレステロール |
0 |
0 |
0 |
0 |
g |
食物繊維 |
2.8 |
1.6 |
1.8 |
5.5 |
g |
βカロテン |
36 |
110 |
50 |
710 |
μg |
ビタミンE |
0.1 |
0.2 |
0.1 |
0.6 |
mg |
ビタミンK |
29 |
79 |
78 |
150 |
μg |
ビタミンB1 |
0.07 |
0.05 |
0.04 |
0.19 |
mg |
ビタミンB2 |
0.03 |
0.04 |
0.03 |
0.23 |
mg |
ナイアシン |
0.3 |
0.4 |
0.2 |
0.9 |
mg |
ビタミンB6 |
0.19 |
0.13 |
0.11 |
0.27 |
mg |
葉酸 |
58 |
53 |
78 |
240 |
μg |
パントテン酸 |
0.35 |
0.31 |
0.22 |
0.76 |
mg |
ビタミンC |
68 |
47 |
41 |
160 |
mg |
ナトリウム |
4 |
4 |
5 |
5 |
mg |
カリウム |
310 |
270 |
200 |
610 |
mg |
カルシウム |
40 |
58 |
43 |
37 |
mg |
マグネシウム |
13 |
17 |
14 |
25 |
mg |
リン |
43 |
41 |
27 |
73 |
mg |
鉄 |
0.5 |
0.4 |
0.3 |
1 |
mg |
含有されている成分は種類によってその量が違いますが、共通して言えるのは低カロリーの食材ということが共通しています。それでは次にキャベツの栄養が健康にどのように影響するのか紹介していきます。
1-2. キャベツの栄養密度と健康への影響
先ほど紹介したように、キャベツには様々な栄養素が含まれています。そのキャベツに含まれる栄養素を摂取することでどのような健康効果が得られるか紹介します。
1-2-1.ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、コラーゲンの合成に欠かせない栄養素で、強い抗酸化作用もあり、体内で活性酸素の生成を抑えます。ストレスによる心身の不調から身を守ったり、シミの原因にもなるメラニン色素の生成を抑えたりする働きもあります。
体に溜めておけない栄養素のため、ビタミンCはこまめに摂取する必要があります。
1-2-2.ビタミンK
ビタミンKは、出血時の止血に関わる成分の働きを助けてくれ、カルシウムの吸収をサポートし、骨に定着しやすくさせる役割があります。
脂溶性であるビタミンKは、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。
1-2-3.葉酸
葉酸は、血液を作るうえで必須の栄養素で「造血のビタミン」とも呼ばれており、赤血球が正常に作られるのをサポートするほか、細胞の新生にも関係しています。
赤ちゃんの正常な発育に必要不可欠であり、妊活・妊娠中の人は、とくに意識して摂りたいビタミンです。
葉酸は、緑色の野菜に多く含まれます。キャベツも色の濃いものを選ぶと、効率的に葉酸を摂取できます。
1-2-4.カリウム
カリウムは、余分なナトリウムを排出し、体内の塩分濃度を調整する働きのあるミネラルで、むくみの改善や、高血圧の予防に効果が期待できます。
カリウムは水に溶けやすく、茹でたりすると失われやすい栄養素であるため生でも食べられるキャベツは、カリウム摂取にもおすすめの食材といえます。
1-2-5.カルシウム
カルシウムは、歯や骨を形成しているミネラルです。子どもの成長や発育に欠かせず、年齢を重ねた人にとっても骨粗しょう症予防のために重要です。カルシウムは、血液や細胞の中にも存在し、筋肉や神経の働きを正常に保つ役割があります。
乳製品や小魚にとくに豊富なカルシウムですが、植物性食品の中では、青菜類にも多く含まれており、体内に吸収されにくい栄養素であるため、多めに摂れるように意識するとよいでしょう。
1-2-6.マグネシウム
マグネシウムは、骨格の成分として骨や歯に多く存在するほか、いろいろな酵素を作る成分にもなるミネラルで、エネルギーの産生やタンパク質の合成、神経伝達などに関わっており、体内で多様な役割を担っています。
マグネシウムはカルシウムとの関わりも深く、ともに働いて、筋肉の動きを調整しています。
1-2-7.食物繊維
食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、おなかの調子を整えるのに役立つ成分です。そのほか、食後の血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を下げたりと、食物繊維にはさまざまな役割があります。
食後の腹持ちをよくすることから、肥満防止にも効果があるとされており、生活習慣病の予防や、便秘の予防や改善のためにも、食物繊維は欠かせません。
2.キャベツを食べるときの注意点
栄養素の中には、熱を加えたりすることで壊れたり、水に溶けやすく洗った際にそのまま流れてしまったりなど特徴があります。そのうえでキャベツの取り扱い方を紹介していきます。
2-1.熱を加えすぎない
キャベツに含まれるビタミンCやビタミンUは、水に溶けやすく熱に弱いため、長時間水にさらしたり、加熱しすぎたりするとせっかくの栄養分が流れやすくなってしまいます。
栄養を最も効率良く摂取するためには、生のままで食べるか、加熱調理の際はさっと短時間で行うのがおすすめです。
2-2.加熱してもキャベツの栄養を効果的に摂る方法
キャベツを茹でる場合は、茹でた汁ごとスープにして飲むことで、溶け出した栄養分も逃さずに摂取できます。
また、キャベツに含まれるビタミンKは脂溶性のビタミンであることから、焼く、炒めるといった調理をする際は、油を使用すことで効率良く栄養を摂ることができます。
2-3. キャベツの保存方法
キャベツは、芯がついたままだと成長を続けていき、葉の栄養分がどんどん失われていきます。
丸ごと保存する場合は、芯をくり抜き、濡らしたキッチンペーパーをくり抜いた穴に詰めておきましょう。さらに新聞紙で包み、ポリ袋に入れて保存します。
このとき、ポリ袋はきっちり閉じず、キャベツが呼吸できるように軽く閉じるようにしましょう。
切ったキャベツの場合は、芯に包丁で切れ目を入れて保存することで、成長を防ぐことができます。切った断面は酸化しやすいので、丸ごと保存する場合とは違い、ぴったりとラップで包んで保存するのがポイントです。
いずれの場合も、冷蔵庫の野菜室で保存し、なるべく早めに食べきるようにしましょう。
3.栄養重視のキャベツの活用法
3-1. 栄養を無駄なく摂るには生で食べる
キャベツの栄養を余すことなくとるの食べ方は「生」で食べることです。キャベツに豊富なビタミンCは熱に弱いため、加熱することで減ってしまうためです。
ほかにも、水溶性の栄養素であるカリウムなども水に流れ出てしまいやすいことも理由です。
これらの栄養素をムダなく摂りたい場合は、キャベツのサラダや和え物など、生で食べるようにしてみましょう。
3-2.揚げ物と一緒に食べる
定食屋さんやレストランで、とんかつやカキフライ、から揚げなどの揚げ物を注文すると、メインの揚げ物の横には必ずといって良いくらいキャベツの千切りが添えられていますよね。実は揚げ物にキャベツの千切りが添えられているのには、ちゃんと理由があります。
キャベツには多くの栄養成分が含まれていますが、その中でも他のお野菜にはあまり含まれていないビタミンUが含まれています。
ビタミンUには、タンパク質の生成を活発にする働き、細胞分裂を促進する働き、そして傷ついた組織を修復する働きがあると言われ、胃の粘膜を修復・保護してくれ、消化を助けてくれる効果があります。
揚げ物は油を多く含んでいるので、どうしても胃に負担がかかりやすいため。キャベツで胃の粘膜を保護し、消化を助ける働きをしてくれるキャベツを一緒に食べることによって、胃への負担を軽くすることができます。
また、ビタミンUは水溶性で熱に弱いという特徴があるので、キャベツの働きを最大限に活かしたかったら、なるべく熱を通さずに生で食べると良いため。揚げ物の添え物として置かれているキャベツの千切りは理にかなった食べ方になります。
4. まとめ
キャベツはカロリーが低いですが、栄養素は豊富に含まれておりダイエットに適した野菜です。その栄養は水に溶けやすいため余すことなく食べるには生であまり水にさらさずに食べたり、スープにすることでその栄養を摂取することができます。
また、普段何気なく揚げ物に添えられているキャベツですが、キャベツに含まれるビタミンUが胃腸を守ってくれる働きがあり揚げ物とキャベツは理想的な組み合わせといえます。
このように様々な恩恵があるキャベツを積極的に食べてその恩恵を受けましょう。