【バレンタイン目前】「チョコレートに含まれるカカオポリフェノールが血圧を下げる」ってウソ?ホント?

アカシアの樹QAシリーズ~健康に関する「ウワサの真相」~

第8回 カカオの健康に関するウワサの真相

214日はバレンタインデー。バレンタインデーといえばチョコレートですよね。今回から数回はチョコレートの主要な成分であるカカオの健康情報について検証していきます。

みなさまもバレンタインデーやチョコレートに関する甘いエピソード、もしくは苦い思い出があるのでは???

 「チョコレートに含まれるカカオポリフェノールが血圧を下げる」ってウソ?ホント? -健康が気になる人にオススメのチョコレートも紹介-

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→ホント(信頼性★★★☆☆):チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには血液中の一酸化窒素の生産を増やし血管を拡張する効果があり、その結果血圧を下げる機能がます。

古代より不老不死の薬や媚薬としても信じられてきた神秘の果実。カカオの健康への効果は古くから人々の興味の対象であり、近代科学における研究も多くなされています。

カカオに含まれるポリフェノールには様々な研究があるのですが今回は血圧との関係について解説します。

末尾には大人の方にオススメの高カカオポリフェノールチョコレートを紹介します。身近な健康を気使う大切な人へのバレンタインチョコの候補にしてみてはいかがでしょうか

 

1. カカオに含まれる健康成分

カカオには食物繊維やカルシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています。その中でも人の健康に関わる成分はなんといってもポリフェノールです。カカオに含まれるポリフェノールは20種類以上含まれており(1)、主要なポリフェノールはフラボノイド骨格をもったエピカテキンやその重合物であるプロシアニジン類です(2)。

詳しいポリフェノールについての分類や種類についてはこちら

2.カカオポリフェノールが血圧低下に関与することを検証した試験

2014年に日本で行われた研究では4569歳までの347人(男性123人、女性224人)を対象に、4週間、チョコレートを毎日一定量、摂取する実験を行いました。この実験ではカカオポリフェノール72%を含むチョコレートを使用し、15g5枚摂取しています。そして、摂取前後で血圧測定や血液検査など、身体の状態の変化を検証しました。その結果、最高血圧と最低血圧は、いずれも、摂取前後で有意に低下することが分かりました(3)。

また複数の臨床試験データをまとめて解析する手法「メタアナリシス」を行いカカオポリフェノールと血圧の関係を明らかにした論文では、カカオポリフェノールの主要成分であるエピカテキンを摂取することで,最高血圧,最低血圧のいずれも有意に低下すると報告しています(4)。

3.チョコレート1枚に含まれるポリフェノール

Riedらの論文ではカカオフラバノールを高含有(301000mg)するチョコレートおよびココア製品には、短期間(約2週間)で23mmHgの統計学的に有意な血圧降下作用があることが示されています。(5)

では301000㎎のカカオフラバノールはどのくらいのチョコレートに含まれているのでしょうか?明治のチョコレート効果72はカカオポリフェノール72%を含有し、チョコレート1枚(5g)で127㎎のカカオポリフェノールが含まれます。カカオポリフェノールの中にどのくらいのフラバノールが含まれるかなど多少の商品によって違いはあるのですが、70%以上の高カカオポリフェノールで一日に数枚食べるのが良いかと思われます。一方、一般的なダークチョコレートにもポリフェノールは含まれますが、高カカオチョコレート(70%以上)の方が1.5数倍のポリフェノールが含まれます。また、糖質やカロリーを抑える面でも高カカオチョコレートの方がおススメです。

4.カカオポリフェノールが血圧を下げるメカニズム

次にカカオポリフェノールが血圧を下げるメカニズムについて紹介します。少し内容は難しくなります。読み飛ばしてもらっても大丈夫です。

 薬や食事(サプリメントも含む)、運動によって高めの血圧を下げるメカニズムについてはいくつか提唱されています。

 カカオポリフェノールもいくつかのメカニズムによって血圧の低下に関与していると思われますが、今回は一酸化窒素(NO)を増加させ血圧を下げるメカニズムについて紹介します(6)。一酸化窒素(NO)は血管を拡張ししなやかにする働きがあります。この体内における一酸化窒素(NO)の働きの発見で、ルイス・J・イグナロ氏、ロバート・ファーチゴット氏、フェリド・ムラド氏という3人の科学者は1998年、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました(7)。一酸化窒素(NO)は中毒症状でよくニュースに取り上げられる一酸化炭素(CO)とは全く別物質です。化学記号や物質名が似ているので間違わないようにしましょう。

カカオポリフェノールの主成分であるエピカテキンはポリフェノールの中でも比較的体内に吸収されやすいという特徴があります(8)。

体内に吸収されたカカオポリフェノールは血液中のNOを増加させます。

Galleanoらは,カカオポリフェノールの主要成分であるエピカテキンを餌中に3 g/kg混ぜ、6日間摂食させる動物実験を行いました。その結果,一酸化窒素合成酵素(NOS)の機能が上昇し血圧が低下することを報告しています(9)。

 またPetronらのメタアナリシスではチョコレートあるいはココアを摂取することで、血管内皮機能が改善することを報告している。NO産生は,血管内皮機能が関与するといわれている。チョコレートを摂取することで血管内皮機能が改善しNO産生能が上昇し結果として血圧が低下することが示されています(10)。

5.まとめ

カカオポリフェノールの主成分であるエピカテキンはポリフェノールの中でも比較的体内に吸収されやすいポリフェノールです。(ポリフェノールには様々な種類があります。ポリフェノールの分類の中にフラバノールがあります。エピカテキンはフラバノールの一種です。)カカオポリフェノールには血液中のNOの生産を増やし血管を拡張する効果があり、その結果血圧を下げる機能がます。健康の維持には70%以上の高カカオポリフェノールチョコレートを一日に数枚食べるのがおススメです。

【コラム】 健康を気づかう大切なあの人へ
大人のバレンタインデーにオススメの高カカオチョコレート4選

記事の中ではカカオポリフェノールと血圧の関係について紹介しました。健康の維持には70%以上の高カカオポリフェノールチョコレートを一日に数枚食べるのがおススメです。最後に高カカオチョコレートでプレゼント向きのものをいくつか選んでみました。

健康を気づかう大切な方へのプレゼントの参考になればと思います。

ゴディバ ピュア 85% ダークチョコレート カレ

高級チョコブランドの先駆け的存在。ベルギー王室御用達でもあるブランド。日本でも有名ですよね。そんなGODIVA(ゴディバ)からも高カカオチョコレートが販売されています。プレゼントにオススメです。

 

ロイズ ロイズオリジンチョコレート カカオ70%

4種類の産地のカカオの味わいが食べ比べできる、カカオ70%の高カカオチョコレートです。産地は、エクアドル・ベトナム・ベネズエラ・マダガスカルの4種類です。カカオの魅力を際立たせるため、カカオ分は70%に設定されています。おしゃれなパッケージなので、ギフトにもおすすめです。

リンツ リンドール 70%カカオ

数種類あるリンドールのなかでも、カカオ分の高いフレーバー。力強いカカオと深みのあるコクが感じられる味わいです。きらびやかな包みで見た目も華やかなので、ギフトとしてもおすすめです。

 明治 チョコレート効果 カカオ72%

本文でもふれた明治のチョコレート。個包装タイプなので義理チョコにも使えます。ラッピングを自分で行えばオシャレに仕上がります。

 1. Hatano, T., Miyatake, H., Natsume, M., Osakabe, N., Takizawa, T., Ito, H., & Yoshida, T. (2002). Proanthocyanidin glycosides and related polyphenols from cacao liquor and their antioxidant effects. Phytochemistry59(7), 749-758.

2. Natsume, M., Osakabe, N., Yamagishi, M., Takizawa, T., Nakamura, T., Miyatake, H., … & Yoshida, T. (2000). Analyses of polyphenols in cacao liquor, cocoa, and chocolate by normal-phase and reversed-phase HPLC. Bioscience, biotechnology, and biochemistry64(12), 2581-2587.

3.夏目みどり. (2018). カカオポリフェノールの包括的研究 カカオは神様の食べ物?. 化学と生物56(7), 490-495.

4. Ellinger, S., Reusch, A., Stehle, P., & Helfrich, H. P. (2012). Epicatechin ingested via cocoa products reduces blood pressure in humans: a nonlinear regression model with a Bayesian approach. The American journal of clinical nutrition95(6), 1365-1377

5.Ried, K., Sullivan, T. R., Fakler, P., Frank, O. R., & Stocks, N. P. (2012). Effect of cocoa on blood pressure. Cochrane Database of Systematic Reviews, (8).

6. Taubert, D., Roesen, R., Lehmann, C., Jung, N., & Schömig, E. (2007). Effects of low habitual cocoa intake on blood pressure and bioactive nitric oxide: a randomized controlled trial. Jama298(1), 49-60.

7. UCLA A Conversation with UCLA Professor Louis J. Ignarro Winner of the 1998 Nobel Prize in Medicine

8. Ottaviani, J. I., Borges, G., Momma, T. Y., Spencer, J. P., Keen, C. L., Crozier, A., & Schroeter, H. The metabolome of [2-(14) C](-)-epicatechin in humans: implications for the assessment of efficacy, safety, and mechanisms of action of polyphenolic bioactives, Sci. Rep. 6 (2016) 29034.

9. Galleano, M., Oteiza, P. I., & Fraga, C. G. (2009). Cocoa, chocolate and cardiovascular disease. Journal of cardiovascular pharmacology54(6), 483.

10. Petrone, A. B., Gaziano, J. M., & Djoussé, L. (2013). Effects of dark chocolate and cocoa products on endothelial function: a meta-analysis. Current Nutrition Reports2, 267-273.