【2024年土用の丑の日は7月24日と8月5日】土用の丑の日は鰻を食べるべきじゃない!??はウソ?ホント ?

第24回 鰻の旬に関するウワサの真相

7月の終わりになるとスーパーなどで見かける土用の丑の日は鰻!の広告。一方で夏はウナギの旬じゃないとの意見も。結局土用の丑の日に鰻は食べた方がいいのかどうか迷いますよね。
今回はなぜ夏の土用の丑の日に鰻を食べるのか。また、夏のウナギの栄養についてレポートします。

【2024年土用の丑の日は7月24日と8月5日】土用の丑の日は鰻を食べるべきじゃない!?ってウソ?ホント ?

→ウソ(信頼性★★☆☆☆):結論からいうとぜひ食べてください。鰻には疲労回復や夏バテ対策になる栄養素が豊富です。養殖であれば季節による変化もあまりありません。始まりや由来については諸説ありますが土用の丑の日鰻を食べる習慣はとても良いことだと思います。

1. なぜ土用の丑の日に鰻を食べるようになったのか?

 

1-1. 2024年の土用の丑の日は7月24日と8月5日

土用とは立夏、立秋、立冬、立春の前の18日間を指しますが、現在一般的なのは立夏前の夏の土用です。丑の日とは十二支の丑にあたる日のことです。2024年でいえば7月24日と8月5日です。

1-2. 江戸時代から土用の丑の日に鰻を食べる習慣が始まった

土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は江戸時代のころから。広めたとされるのは平賀源内といわれることが多いです(所説あるようですが)平賀源内は江戸時代を代表する蘭学者の一人です。解体新書が有名ですよね。平賀源内は高級な食べ物だったうなぎを食べるという風習を世間に定着されるため、土用の丑の日を鰻を食べる日として広めたといわれています。

実際、日本国内のウナギの消費量の約4割近くがこの土用の丑の日に集中しています。(1)特定の日に鰻を食べる文化がるのは世界的に見ても特異的な現象だそうです(1)。

2.  夏バテ対策に良い!ウナギの栄養素を紹介

新井茂. (1979). ではウナギの栄養素について比較されています。ウナギの可食部は全魚体の約80%。ジペプチドのカルノシンやアミノ酸の1種タウリンが多いのか特徴です(2)。

また、他の食品と比較した表からはビタミンA、ビタミンDが多いことが分かります(2)。これらの栄養素の効能について調べてみました。

2-1. カルノシンの疲労回復効果

鰻にはカルノシンが豊富に含まれます。カルノシンは2つのアミノ酸が結合したイミダゾールペプチドの一種です。イミダゾールペプチドは、筋肉でつくられる物質です。その効果は活性酸素を抑える働きがあり、疲労感を改善するという報告があります。鰻に多い、カルノシンは疲労回復に優れた効果があります。(3,4)

2-2. 栄養ドリンクの成分としても有名、タウリン

ウナギはタウリンも多いです。タウリンはアミノ酸の1種で牡蠣、しじみ、あさり、たこ、いかなどにも多く含まれています。栄養ドリンクの成分としても有名ですよね。タウリンの効果の研究にはアスリートの疲労感軽減に関する研究などがあります。(5)

2-3. 目や粘膜の健康を保つビタミンA(レチノール)

ウナギの栄養素で特筆して多いのがビタミンAです。ビタミンAの主成分であるレチノールは、脂溶性ビタミンに分類され目や皮膚の粘膜を健康に保つ、抵抗力を高める効果があります。眼精疲労にも期待できそうです。ビタミンAに関しては1日の摂取目安から考えて1日1枚くらいの鰻がお勧めです。鰻と梅干は一緒に食べない方がいいは嘘か本当か | 暮らしのお役立ち情報 | アカシアの樹【公式】アカシアポリフェノール糖ケアサプリ (acacia-no-ki.co.jp)

2-4. ビタミンD 必須栄養素だが、日光によって生合成もされる

ビタミンDは、体内でさまざまな役割を担っており、健康な歯や骨の発育を促し、小腸ではカルシウムとリンの吸収を促してくれます。また神経の伝達や筋肉の収縮を維持する役割があるので、ビタミンDが不足すると疲労を感じやすくなります。

2-5. ウナギは江戸時代より前から疲労回復に良いことが知られていた

日本人が鰻を食した最古の記録は万葉集にあると言われています(6)。万葉集は奈良時代に書かれた書物なので江戸時代より以前です。

当時鰻はご馳走としてではなく滋養分の供給源として、いわば薬品の代用として食べられていたそうです(6)。もしかしたら平賀源内もウナギが夏バテ予防に良いと考えたので土用の丑の日に鰻をすすめたのかもしれませんね。

3. ウナギの旬はいつ?

3-1. 養殖では季節によってあまり変化がない

最後にウナギの旬についてです。夏のウナギは旬じゃないので食べないほうがいいといった話も耳にします。

ウナギの栄養について先ほど紹介した文献にもウナギの旬について記載がありました。

「夏に最も多く食べられるので、ウナギの旬は夏であるように思われているが、食用になっているウナギの大部分は養殖されたものなので、ウナギに旬はないといってもよいのではないかと思われる。」(2)

と記載があります。夏が旬ではないことは確かかもしれませんが、他の季節が際立って旬というわけでもなさそうです。

もう少し深堀できるように他の文献も探してみました。

3-2.ウナギのビタミンA、Dは秋に多いという研究はある

杉井ら(1988).の報告では飼育環境の異なった養殖場で生産されたウナギについて(一部天然ウナギについても測定している)季節別での栄養成分の変化を比較していますが、一般成分やサイズについては相違が無いことが示されていました。一方、ビタミンAやビタミンDについては秋に多くなる傾向がありました(7)。しかし、これらの詳細な原因については解析できなかったとありました。

4. 庶民の味になった?比較的安く食べられる鰻のお店

平賀源内のおかげか現代では一般的に鰻を食べる習慣が広まっています。最近では全国展開するチェーン店(吉野家、すき家、松屋、なか卯、鰻の成瀬)でも比較的安価に鰻を食べられます。下記にまとめてみました。2024年7月現在

鰻メニュー | 吉野家公式ホームページ (yoshinoya.com)

うなぎラインナップ | すき家のメニュー | すき家 (sukiya.jp)

うな丼 | 松屋 | 松屋フーズ (matsuyafoods.co.jp)

うなぎ・丼・海鮮丼| なか卯の商品 | 丼ぶりと京風うどんのなか卯 (nakau.co.jp)

鰻の成瀬 | 鰻をもっと安く、鰻でもっと健康に、鰻でもっと美しく (unagi-naruse.com)

吉野家、すき家、松屋、なか卯、鰻の成瀬いずれも鰻のサイズやご飯などによって複数価格設定があり、900円代から2000円代の価格でした。もっとも安かったのは「なか卯 うな重 並盛 950円(税込)」でした。

鰻の成瀬さんは鰻の専門店として全国展開しています。鰻の専門店でありながらこの値段はお得感があります。専門店らしくお店のホームページには鰻に関するコラムも豊富に紹介されています。うなぎコラム | 鰻の成瀬 (unagi-naruse.com)

5. まとめ

土用の丑の日とウナギの栄養について、研究論文などをふまえて紹介いたしました。

たしかにウナギの旬は夏ではないかもしれません。しかし、鰻には疲労回復や夏バテ対策になる栄養素が豊富です。習慣の始まりの由来は所説ありますが、土用の丑の日鰻を食べる習慣はとても良いことだと思います。

1. 結局、ウナギは食べていいのか問題 (2019) 海部健三(著)岩波科学ライブラリー 

2. 新井茂. (1979). ウナギ. 調理科学, 12(2), 85-90.

3. Kohen R, Yamamoto Y, Cundy KC, Ames BN. Antioxidant activity of carnosine, homocarnosine, and anserine present in muscle and brain. Proc Natl Acad Sci U S A. 1988 May;85(9):3175-9. 

4. Derave W, Jones G, Hespel P, Harris RC. Creatine supplementation augments skeletal muscle carnosine content in senescence-accelerated mice (SAMP8). Rejuvenation Res. 2008 Jun;11(3):641-7.  

5. Balshaw TG, Bampouras TM, Barry TJ, Sparks SA. The effect of acute taurine ingestion on 3-km running performance in trained middle-distance runners. Amino Acids. 2013 Feb;44(2):555-61.

6.うなぎコラム | 鰻の成瀬 (unagi-naruse.com)

7. 杉井麒三郎, 渡辺武彦, & 衣巻豊輔. (1988). 養殖ウナギの脂質栄養成分.