皆さん食物繊維はとっていますでしょうか。といっても自身が食物繊維を意識しないとどの程度とっており、それが十分な量かはわからないでしょう。普通の食生活をしている場合、厚生労働省の調査結果では1日に平均6g の食物繊維の摂取量が不足しているとのことです。そのため、現在の食生活では食物繊維は意識して取らないと、不足してしまう成分になっています。食物繊維は様々な食品に含まれており、意識して食物繊維が多い食品を食べていれば、十分な量が摂取できます。食物繊維はその働きから第6の栄養素とも呼ばれている重要な成分です。今回紹介する食物繊維が多い食べ物を知り、食物繊維を積極的に摂りましょう。
目次
1.食物繊維が多い食べ物
自炊する場合でも、外食する場合でも、食物繊維が多い食材を知っておけばどのようなものを食べればよいのかはすぐにわかるようになります。そのため、食物別に食物繊維が多く含まれている食品をご紹介します。
1-1.野菜
野菜類で特に食物繊維の量が多いのは以下のような食品です。
食材 |
含有量/100g |
ごぼう |
6.1g |
オクラ |
5.2g |
芽キャベル |
5.2g |
ダイコン |
5.1g |
ブロッコリー |
4.3g |
西洋かぼちゃ |
4.1g |
食物繊維が豊富に含まれているのはごぼうになります。CMなどでキャベツが食物繊維の多い食材のようになっていますが、100あたり1.8gとそこまで多い食物繊維の量ではありません。
1-2.穀物類
穀物は、お米や麦などの主食となるものです。最近では糖質制限などで食べる量が減っているかもしれませんが。穀物類からも食物繊維を摂ることができます。そのため過度な糖質制限を行うと食物繊維が不足してしまうことになることも少なくありません。食物繊維が多い穀物は以下のようなものになります。
食材 |
含有量/100g |
もち麦 |
12.9g |
全粒粉 |
11.0g |
大麦(押麦) |
9.6g |
玄米 |
3.0g |
一番多いのはもち麦になります、もち麦は以前テレビでも取り上げられていた食材で覚えがある人も少なくないのではないでしょうか。その食物繊維の量でダイエット食として有名です。次に全粒粉ですが、全粒粉は麦を粉にする際に除去する胚芽をそのまま残した小麦粉です。胚芽を残さない普通の小麦粉の場合は100g当たり2.5gとかなりの食物繊維の量が減ってしまいます。大麦は基本的に加工され押麦といった形で目にすることがあります。オートミールがその代表になります。
玄米は白米に精米する前のお米で健康に良いとされているため普段から食べている人も少なくないのではないでしょうか。ちなみに白米は100gあたり0.5gしか含まれていないため、白米だけ食べていた場合は食物繊維はほとんどとることができません。
1-3.豆類
豆類は食物繊維を多く含んでいる食材が多いです。生で豆類は食べることは少ないので、ゆでた状態の祝持つ繊維の量が多い豆類を紹介いたします。
食材 |
含有量/100g |
いんげん豆 |
13.3g |
あずき |
11.8g |
ひよこまめ |
11.6g |
グリーンピース |
9.6g |
エンドウ豆 |
7.7g |
一番多い、いんげん豆で13.3gとかなりの食物繊維を含んでいます。これは豆類に多く含まれるでんぷんの一部が、ゆでることでレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)と呼ばれるものに変化します。これが食物繊維と同じ働きをするため、豆類に食物繊維の量が多く含まれることになっています。
1-4.海藻類
海藻といえばわかめを思い浮かべると思いますが、のりや昆布など加工されて出ているので摂取の機会はそれなりにある食材です。
食材 |
含有量/100g |
ひじき(乾燥) |
43.3g |
焼きのり |
36g |
昆布(乾燥) |
31.3g |
わかめ |
3.6g |
ひじき、焼きのり、昆布とかなりの食物繊維の含有量となっています。これはからくりがあり、食材の隣に書いていますが乾燥状態のものになります。水分が含まれていないため結果的にその分の重さがなくなったため成分が凝縮されたためです。実際にひじきを水につけて戻すと8~10倍の重さになります。戻した時は4.3~5.4、昆布は2.5倍ほどになるので12.5g含まれていることになります。確かにひじきは食物繊維の量が少なくありませんが、そこまで大量に食べることはないと思うのでひじきだけで食物繊維を補うことは難しいでしょう。また、焼きのりも36gとかなりの食物繊維の量ですが、1枚あたりだと1.1g程になります。
1-5.きのこ類
キノコ類は食物繊維を多く含んでいる食材が多いことです。その中で特に多いきのこを紹介します。
食材 |
含有量/100g |
きくらげ |
5.6g |
しいたけ |
5.5g |
まつたけ |
4.7g |
えのき |
3.9g |
まいたけ |
3.5g |
エリンギ |
3.4g |
しいたけやえのきなどはどこでも売っているきのこです。ほかにまいたけやエリンギなどもよく見るきのこです。しかもきのこは低カロリーなうえ、豊富なビタミン類が含まれており、健康にもよいことが知られています。
1-6.果物
果物は間食などで食べやすく、不足しがちな食物繊維を補ってくれやすい食材です。
食材 |
含有量/100g |
かりん |
8.9g |
アボカド |
5.3g |
レモン |
4.9g |
ラズベリー |
4.7g |
きんかん |
4.6g |
ブルーベリー |
3.3g |
かりんは漢方薬に使われている食材で、甘味などもないのでそのまま食べることは無く、はちみつ漬けなどにして食べるので間食にはピッタリです。またアボカドに果物のイメージはありませんが分類上は果物になっています。アボカドは間食に向いていませんので、サラダなどで摂るとよいでしょう。レモンもそのまま食べるのは難しいかと思うので、はちみつ漬けなどで食べるとよいでしょう。果物の皮などに食物繊維が多く含まれているので、皮も食べることができるものは皮ごと食べるようにしましょう。
1-7.ナッツ
ナッツも果物と同様で、間食で食べやすいので不足しがちな食物繊維を補ってくれる食材となっています。
食材 |
含有量/100g |
アーモンド |
14.4g |
ピスタチオ |
9.2g |
マカダミア |
8.6g |
クルミ |
7.5g |
ピーナッツ |
7.2g |
このようにナッツ類は多くの食物繊維を含んでいます、しかも上であげたものはコンビニでも売っているものばかりのため手に入りやすいという利点があります。また、ナッツ類は不飽和脂肪酸を多く含んでいるので、習慣的に食べることで健康にもよい食材です。ただし、ナッツ類はカロリーが高いので食べすぎには注意するようにしましょう。
2.忙しい人のためにコンビニで買える食物繊維が多い食べ物
食物繊維が多い食材を知ったとしても、時間が無ければそれを有効に利用することは難しくなっています。しかし、日本にはいたるところにコンビニがあるので、コンビニで食物繊維を多い食材を選ぶことができます。
2-1.セブンイレブン
セブンイレブンは全コンビニの中でも店舗数1位となっています。駅やオフィス街など様々な場所にあるので、どのタイミングでも購入することができます。
2-1-1.7プレミアム 蒸しサラダ豆
出展:セブンイレブン 7プレミアム 蒸しサラダ豆
含有食物繊維量:7.0g
価格:100円
2-1-2.7プレミアム ごぼうサラダ
含有食物繊維量:3.3g
価格:128円
2-2.ファミマリーマート
ファミリーマートからはスーパー大麦を使ったおにぎりを紹介します。スーパー大麦は食物繊維豊富という触れ込みで売られており、ここ2,3年は定期的にスーパー大麦のおにぎりの新商品が発売されています。
2-2-1.スーパー大麦 枝豆とサラダチキン
出展:ファミリーマート スーパー大麦 枝豆とサラダチキン
含有食物繊維量:1.1g
価格:128円
2-2-2. 7品目の蓮根とひじきの煮物
出展:ファミリーマート 7品目のレンコンとひじきの煮物
含有食物繊維量:g
価格:276円
2-3.ローソン
ローソンは食物繊維の商品に力を入れている印象です。紹介するスナックもパッケージの表に食物繊維の量を記載し、サラダには商品名に食物繊維の量を記載するなど力の入れようがうかがい知れます。
2-3-1.パリパリ食感の枝豆チップス
含有食物繊維量:18.1g
価格:148円
2-3-2. 食物繊維7.5g 根菜サラダ
出展:ローソン ローソンオリジナル サラダ 食物繊維7.5g 根菜サラダ
含有食物繊維量:7.5g
価格:148円
2-4.お菓子
お菓子ではわざわざ食物繊維を添加しているのものはないと思われます。ただし使っている原材料によっては食物繊維がそのまま残っており、高い食物繊維含有量のものがあります。
2-4-1.カルビー さやえんどう
含有食物繊維量:7.7g
2-4-2.ポップコーン
含有食物繊維量:9.0g
2-5.飲み物
飲み物で食物繊維が含まれているものは様々あり、食物繊維を添加しているものや素材そのままからの食物繊維等があります。食物繊維は皮や身などに多く含まれているので、果汁だけ絞ったものなどは基本的に食物繊維は多くありません。食物繊維を食材から摂りたいときはスムージー系のものがよいでしょう。
2-5-1.大塚製薬 ファイブミニ
含有食物繊維量:6.0g
2-5-2. alpro オーツミルク
含有食物繊維量:3.75g
3.サプリメントでも食物繊維を摂れる
現代の忙しい人向けにサプリメントでも、食物繊維を摂ることができます。
ただし、サプリメントで食物繊維を摂る場合は当たり前ですが、食物から摂るわけではないので他の栄養素が不足しがちになることもあるので要注意が必要です。
3-1.難消化性デキストリン
難消化性デキストリンは食物繊維を補うためにトウモロコシのでんぷんから作られた成分です。消費者庁から特定保健用食品として認められています。
出展:amazon 難消化性デキストリン
多くのコンビニで見るトクホのドリンクの多くにはこの難消化性デキストリンが入っています。購入はamazonで400gで800円程度と安いので手が出しやすいです。水分に溶けやすいので食事の時にスープに入れたり、お茶に溶かしたり等出来るので使いやすいため、摂取しやすい食物繊維のサプリメントです。
3-2.セルロース
こちらは後程説明しますが、不溶性食物繊維と呼ばれる食物繊維です。不溶性と呼ばれるものなので、溶けにくいのが特徴です。そのため、少し粘度があるヨーグルトやスムージーなどに混ぜて一緒に食べるとよいです。こちらもamazonで400g で800円程とデキストリンと同じ程度の価格です。
出展:amazon 不溶性食物繊維セルロース
4.1日の理想食物繊維の摂取量
先ほど少し説明しましたが、食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維という食物繊維の種類があります。セルロースが不溶性食物繊維、難消化性デキストリンが水溶性食物繊維に該当します。これらは同じ食物繊維ではありますが、その特性によって働きが違います。
4-1.水溶性と不溶性をバランスよく摂ることが重要
この二つの食物繊維は一つの食材にそれぞれ含まれているのですが、そのバランスは食材によって違っています。2つの食物繊維はバランスよく摂る必要があるのですが、食物繊維を摂ることのみを目的として、極端に偏った食材だけを食べていると2つの食物繊維のバランスが悪く、便通が悪くなってしまうなどの悪影響が出てしまうことがあるのです。しかも食物繊維はどちらも大腸内の細菌で発酵・分解され、腸内の善玉菌の餌になり、善玉菌が増えて腸内環境が改善されるという重要な働きがあります。
2つの食物繊維は、不溶性と水溶性が2:1のバランスで摂ることが一番効果が高い量になっています。
4-2.水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状になるという特徴があります。さらに小腸での栄養素の吸収を緩やかにしてくれる働きがあるため、急激な食後血糖値の上昇を抑えてくれる効果があります。また、コレステロールを吸着して体外に排出する効果もあるのでコレステロール値にも効果が期待できるというものです。このほかにもナトリウムを排出する効果があるので血圧が上昇することを抑えてくる働きもあります。
4-2-1.水溶性食物繊維が多く含まれる食品
水溶性食物繊維が多く含まれる食品は以下のようなものがあります。
- 果物類
- キャベツ
- ダイコン
- 昆布、わかめ等の海藻類
- 大豆
- 大麦
等の食材に水溶性食物繊維が含まれています。
4-3.不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水溶性とは水に溶けにくいことが特徴です。不溶性食物繊維は水分に溶けず、水分を吸収することでその体積を増やします。そうすることで便の量を増やすのですが、便の量が増えることで大腸が刺激され、排便がスムーズになることが期待できます。さらに有害物質を吸着させて、便と一緒に排出してくれる働きがあります。
基本的に野菜には水溶性食物繊維が多く含まれている野菜が少ないので、食物繊維が多く含まれている野菜は、不溶性食物繊維が多い野菜となる場合が多いです。不溶性食物繊維自体は野菜で補うことができるのですが、キノコ類などにも多く含まれています。キノコはかなりの低カロリーのためこちらもダイエットにお勧めです。
4-3-1.不溶性食物繊維が多く含まれる食品
不溶性食物繊維が多く含まれている食品は以下のようなものがあります。
- 大豆などの豆類
- ごぼう
- トマトなどの熟した野菜類
- きのこ
大豆は水溶性と不溶性それぞれに入っていますが、大豆は不溶性と水溶性がバランスよくしかも一つの食材で多くの食物繊維が含まれているので迷ったら大豆を食べるのがお勧めです。
5.食物繊維の役に立つ効果
食物繊維は便通に効果的だというのは有名な話なので、ご存知の方も少なくないでしょう。しかし、それ以外にも体に良い効果があるのでそちらを紹介いたします。
5-1.便通の改善に役立つ
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維で説明しましたが不溶性食物繊維は水分を吸収して体積を増やして、便の量を増やし、大腸を刺激して便通を促します。また、水溶性食物繊維は、みずに溶けるとゼリー状になるので便が固くなるのを防いで排便をスムーズにしてくれる効果があるのです。
このため、便通に悩んでいる場合は食物繊維を多くとるように言われているのです。
5-2.糖の吸収を抑える
食物繊維が栄養素の吸収を妨げたり、吸収速度を遅らせる働きがあります。
食物繊維を摂ることで、糖の吸収を緩やかにして血糖値の急激な上昇を抑えて、血糖値スパイクと呼ばれる食後高血糖を防ぐ働きがあります。トクホの飲み物である糖の吸収を穏やかにするとの説明はこの効果によるものです。
5-3.コレステロールの値を下げる
糖と同じようにコレステロールの吸収を阻害してくれます。食物繊維がコレステロールを吸着して、排便と一緒に体外に排出してくれるので、吸収されることなく体外に排出されるのです。
6.食物繊維をとりすぎには要注意
良い効果ばかりでいくらでも取りたくなる食物繊維ですが、やはり何事も摂り過ぎはいけません。食物繊維を摂りすぎてしまうとどうなるのかご説明します。
6-1.便通が悪くなる可能性
便通をよくするために、食物繊維を摂っているのに便通が悪くなってしまうのは本末転倒です。なぜこのようなことが起きてしまうのかというと、不溶性食物繊維の働きは水分を吸収して便の量を増やし、腸を活発にして便通をよくするという説明をしました。しかしこの特性が便通を悪くする原因になってしまいます。どういうことかというと、不溶性食物繊維を摂ることで便の量が増えるのは良いのですが、不溶性食物繊維を摂りすぎることで、便が増えすぎて体がうまく排出できなくなってしまうということがおきてしまい、便通が悪くなってしまいます。
6-2.下痢になってしまう可能性
食物繊維を摂りすぎると下痢になってしまうことがあります。先に説明した便通が悪くなると矛盾するような話ですが、察しの良い方ならもうすでに分かったかとは思います。今度は逆に水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢になってしまうのです。水溶性食物繊維の特徴は水に溶けドロドロのゼリー状になることです。その特性で便が固くなるのを防いでくれるのですが、水溶性食物繊維が多すぎると便が緩くなりすぎたり、結果的に下痢になってしまうので注意が必要です。
7.まとめ
食物繊維の量は食材によって様々です。普段の食事でも日本人は1日の必要量の7割程度は摂取することができています。今回お教えした食材を意識して食べることで1日の必要量は十分取れるようになるはずです。食材を選べる余裕等がない場合は、サプリメントで不足分をとることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。