1.ピーマンの栄養
ピーマンには栄養がないという話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、実はピーマンには様々な栄養が含まれています。
1-1.ピーマンのカロリーは20kcalと低カロリー
ピーマンは100gあたり20kcalであるため、カロリーを気にしている方でも安心して食べることができます。食卓に並ぶことが多いニンジン(36kcal)やたまねぎ(37kcal)と比べるとカロリーは約半分です。
1-2.食物繊維は総量が2.3g
ピーマンの食物繊維総量は2.3gです。レタス(1.1g)の食物繊維総量と比べると約2倍もあります。また、たまねぎ(1.6g)やキャベツ(1.8g)、トマト(1.0g)などと比べてもピーマンは食物繊維総量が少なくありません。
1-2-1.水溶性食物繊維は0.6g
水溶性食物繊維は腸内に生息するビフィズス菌などの善玉菌の栄養となり、腸内環境を整える働きがあります。そんな水溶性食物繊維ですが、ピーマンには0.6gの水溶性食物繊維が含まれます。0.6gというと少なく感じるかもしれませんが、一般的な家庭で食べられる野菜の水溶性食物繊維量は0.1~0.9gであることから決して少量とは言えません。
1-2-2.不溶性食物繊維は1.7g
ピーマンは不溶性食物繊維を1.7g含んでいます。1.7gは一般的な家庭で食べられる野菜の中では少なくないです。実際、ニンジン(1.8g)やキャベツ(1.4g)、ナス(1.4g)と比べても大差ないことがわかります。
1-3.ピーマンは低糖質
1-3-1.糖質は2.8g
ピーマンは糖質が非常に低い野菜です。たまねぎ(5.6g)やかぼちゃ(17.2g)、トマト(3.7g)と比べると糖質は非常に少ないと言えます。したがってピーマンは糖質制限をしている方にはオススメの食品と言えます。
1-3-2.GI値は26
ピーマンのGI値(糖の吸収度合いを示す数値)は26です。GI値は70以上を高GI食品、56~69を中GI食品、55以下を低GI食品と定義されています。これを踏まえるとピーマンは糖質を気にする方でも気にせず食べて大丈夫です。
1-4.ビタミンCは76mg
ピーマンはビタミンCを76mg含んでいます。これは一般的な家庭に並ぶ野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。ビタミンCが豊富な果物類と比べても遜色ないです。ビタミンCが豊富で有名なレモンも50mg、であることから、ビタミンCを摂るためにピーマンは断然オススメな食材です。
1-5.ピーマンはβ-カロテンが400μg
β-カロテンは野菜の色素の1種です。β-カロテンはビタミンA活性を有しているため、摂取すると体内でビタミンAに変換されます。そんな、β-カロテンですがピーマンにはあまり多くないです。β-カロテンが多い野菜の代表はニンジンで7200μgとピーマンの18倍です。しかし、ゴーヤ(180μg)やナス(100μg)、白菜(92μg)と比べると含有量は2倍以上あることからピーマンのβ-カロテンは決して少ないとは言えません。
1-6.ビタミンP(ヘスペリジン)
ピーマンはヘスペリジンを含んでいます。ヘスペリジンは柑橘類に含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持つほか末梢血管を強くする働きがあります。
1-7.カプシエイト
ピーマンはカプシエイトという成分を含みます。通常、唐辛子の仲間はカプサイシンという成分を含んでおり、これが辛味の原因となります。ピーマンは唐辛子の仲間ですが、カプサイシンはほとんど含まれず、このカプシエイトはカプサイシンが変化した成分で辛さはカプサイシンの1/1000です。
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1-8.ピラジン
ピラジンは野菜の中でピーマンのみが保有する成分です。ピラジンは香り成分で、ほうじ茶に多く含まれます。ほうじ茶の香りを嗅いだ時香ばしいと感じることはありませんか?実はピラジンの香りなんです。ピラジンは主にリラックス効果と冷え性改善効果があります。
1-9.クエルシトリン
クエルシトリンはピーマンに含まれる苦み成分でポリフェノールの1種です。クエルシトリンには抗炎症作用という体に良い効果があります。
2.ピーマンの種の栄養
ピーマンの種は捨てがちですが、実は種に豊富に含まれる栄養成分があります。
2-1.ピラジンは皮の10倍
ピーマンの種はピラジンが多く含まれます。その量はなんと皮の10倍も含んでいます。具体的な量に関する厳密な情報は見つかっていませんが、種にはピラジンがたっぷりあります。
ピーマンのピラジンとは?凄い効能やその栄養を逃さない調理法とは?
2-2.ビタミン類が豊富
ピーマンの種はビタミンも豊富です。ビタミンCやβ-カロテン、ビタミンB群などビタミンを豊富に含んでいます。
3.ピーマンを食べたときの健康効果
3-1.カプシエイトはエネルギー産生を促進し、体温も高める
ピーマン特有の成分であるカプシエイトには2つの健康効果が期待できます。
3-1-1.カプシエイトはエネルギー産生を促進する効果がある
カプシエイトは継続摂取することで基礎代謝をアップさせます。カプシエイトを摂取すると交感神経の働きが活性化され、脂肪組織にはたらきかけて脂肪燃焼が高まると考えられています。
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3-1-2.カプシエイトは体温も高める
カプシエイトは体熱を産生する効果も期待されています。京都大学大学院農学研究科応用生命科学の大貫氏らが行った研究によるとカプシエイトを経口投与したマウスは通常のマウスに比べて体温が高くなったと報告されています。
甘味品種トウガラシCH-19 Sweetと無辛味カプサイシン類似化合物質カプシエイトの体熱産生効果
3-2.ヘスペリジンは血管系をケアする
3-2-1.血流改善に効果的なヘスペリジン(ビタミンP)
ヘスペリジンはビタミンPとも呼ばれるポリフェノールの1種で、末梢血管を強くする作用があります。血管はコラーゲンでできており、血管を強く保つにはこのコラーゲンが必要不可欠です。ビタミンPはそんなコラーゲンを産生するために必要なビタミンCの働きを助ける効果があるため、コラーゲンの生成を促進し、血管のケアに役立ちます。
http://ci.nii.ac.jp/naid/10024794479
3-2-2. ヘスペリジンは冷え性改善に役立つ
ヘスペリジンは血流を改善することで体温の上昇を促す作用があり、冷え性の改善にも役立ちます。江崎グリコ株式会社の研究で15℃の水に手をつけてもらい、体温の変化をサーモグラフィーで測定したところ、ヘスペリジンを摂取した人の手は摂取してない人に比べて体温の回復が早いという結果が出ています。
http://ci.nii.ac.jp/naid/10024794479
3-2-3. ヘスペリジンは花粉症を予防する
ヘスペリジンはアレルギーによる炎症を抑える効果があるため、花粉によるアレルギー反応である花粉症にも効果的であると言われています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21559359
3-3.ピラジン効果は2つ
3-3-1.冷え性に良い
ピラジンには血液の流れを改善する効果があると言われています。ほうじ茶を飲むと体がぬくもる感覚があることはありませんか?ほうじ茶にはピラジンが豊富に含まれており、ピラジンが血流を改善することで体温を上げているからです。ピーマンにもこのピラジンが含まれているため冷え性改善の効果が期待できます。
3-3-2.リラックス効果
ピーマンに含まれるピラジンにはリラックス効果があると言われています。ピラジンを摂取することで日ごろの疲労やイライラした感情から解放されるかもしれません。
ピラジンの効果効能5つについて!ピラジンが含まれている飲み物や食べ物も紹介! – チャイラボ
3-4クエルシトリンは抗炎症作用がある
クエルシトリンには抗炎症効果が期待されます。昭和薬科大学に所属の田口氏らが行った研究では急性の炎症に対してその炎症を抑制する効果を持つ可能性があると報告されています。
ジュウヤク(Houttuyniae Herba)の薬理学的研究 : クエルシトリンの抗炎症作用
【コラム】ピーマンの苦みの原因は渋み成分クエルシトリンと香り成分ピラジン
ピーマンが苦手な理由として特有の苦みが挙げられます。しかし、実はピーマンに苦み成分は含まれていません。タキイ種苗とお茶の水女子大学の研究によると、渋み成分のクエルシトリンと独特な香りの原因であるピラジンが混ざった結果、ピーマンは苦く感じることが判明しています。
https://keisen.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=876&file_id=22&file_no=1
渋味 + 香気 – 正体不明だったピーマンの苦味成分をタキイ種苗らが解明
4.美味しいピーマンの選び方
4-1.ピーマンの旬は夏
ピーマンは夏野菜で旬は6~9月ですが、市場には通年出回ります。夏のピーマンも美味しいですが、春物のピーマンもよく熟しているため美味しいです。
4-2.濃い緑色でツヤがあるものを選ぶ
ピーマンを選ぶときは均等な濃い緑色をしたツヤのあるものを選びましょう。ピーマンは時間経過とともにシワが増えていきます。ツヤは新鮮で水分が十分に残っている証拠でもあります。
4-3.肉厚でデコボコしてない丸い形がオススメ
ピーマンを選ぶとき、形は凹凸のない丸い形がオススメです。極端に曲がったり、極端に細長いものは避けましょう。栄養や水分がいきわたってない可能性があります。また、ピーマンを持った時なるべく重たいものの方が水分を含んでいるため新鮮と言えます。
ピーマンの選び方はヘタが決め手!?種類別にオススメの食べ方も紹介
6.ピーマン類とパプリカの違い
6-1.緑ピーマンと赤ピーマン、黄ピーマンは熟度が違う
ピーマンは赤、黄、緑と3色のピーマンがありますが、その違いは熟度(熟した度合い)にあります。一般的によく食べる緑ピーマンは未熟果で、独特な苦みと歯ごたえがあるのが特徴です。赤ピーマンと黄ピーマンは熟れてきているため苦みが薄れ、食感も柔らかいです。
6-2.赤ピーマンと黄ピーマンは品種が違う
黄ピーマンは緑ピーマンが赤ピーマンになる過程で黄色くなった姿のことを指す場合もあります。ただし、品種として黄色くなってから変わらないピーマンもあり、これも黄ピーマンといわれます。
6-3.ピーマンとパプリカは形が違う
パプリカは実が大きく、肉厚で甘みがあるのが特徴です。形はピーマンのベル型に該当し、ふっくらした形をしています。一方、ピーマンは実が小さめで皮は薄いのが特徴です。また、品種にもよりますが、細長い形をしているものが多いのもピーマンの特徴です。
赤ピーマンと緑・黄ピーマンの違い!パプリカとの違いや食べ方・レシピ5選 | お食事ウェブマガジン「グルメノート」
【色が違うだけなの? 】ピーマンとパプリカの違いについて | 東京ガス ウチコト
7.ピーマンの調理法
7-1.ピーマンの苦みを抑える調理法
7-1-1.縦に切る
ピーマンは縦に繊維が入っており、苦味成分を含む細胞は縦に長い形をしているため、繊維に沿って縦に切ることで、細胞をなるべく切らず、苦味を減らすことができます。
7-1-2.繊維を断ち切るように横に切りって水にさらす
ピーマンの苦みは繊維を断ち切り、水にさらすことで軽減されます。先述した苦みの原因となるピラジンは、水溶性のため水につけることで水に溶けていきます。そのため、繊維を断ち切ることで、苦み成分を細胞外へ出すことでピーマンに苦みが残らないようにすることが可能です。
https://www.kurashiru.com/articles/12c46548-4781-4aad-a744-a9d95c1a3d19
7-2.ピーマンの栄養を効率よく摂取する方法
7-2-1.種やワタは取らない
種にはピラジンやビタミン類が豊富に含まれているため、取り除かずに料理の一部として活用しましょう。
7-2-2.炒める
ピーマンに多く含まれるβ-カロテンは脂溶性ビタミンのため、油に溶けます。そのため油を使った調理をすることでβ-カロテンを効率よく摂取できます。
8.ピーマンのオススメレシピ
8-1.苦みも減らし、種ごと食べられるピーマンの煮浸し
種ごと食べられるピーマンですが火も調理器具も使わず、電子レンジのみでお作りいただける種ごとピーマンの簡単煮浸しをご紹介します。この煮びたしは包丁で切る作業がないためピーマンの細胞を破壊することなく苦みを抑えることが可能です。
【材料】2人前
- ピーマン・・・4個
- 水・・・60ml
- (A)めんつゆ (2倍濃縮)・・・50ml
- (A)すりおろし生姜・・・小さじ1/2
- (A)ごま油・・・小さじ1/2
- 糸唐辛子・・・適量
【手順】
1.ピーマンは数か所に切り込みを入れる。
2.耐熱ボウルに水と(A)を入れて混ぜ合わせ、1のピーマンを加え、ラップをかけて600Wの電子レンジで5分ほど加熱。
3.ピーマンに火が通り全体に味がなじんだら器に盛り付け、糸唐辛子をのせてできあがりです。