目次
1. 柿100gあたりの栄養成分
柿は平均的なサイズであれば1個あたり200グラム程度で、半分が約100グラムになります。柿100グラムあたりの栄養成分は次のとおりです。
1-1. カロリーは60kcal
柿100グラムあたりのエネルギーは60kcalです。同じ量のご飯(156kcal)と比べると、半分弱になります。
1-2. 糖質は14.3g
柿100グラムあたりの糖質は14.3gです。リンゴやマンゴーと同じくらいの、果物の中では糖質高めになります。糖質制限中の間食は糖質10gが目安なので、糖質制限中に柿を食べるときは70g程度が適量といえます。これはおよそ柿1/3切れ~半分の量です。
1-2-1. リンゴと同量の糖質
同じ秋の果物と比較してみましょう。リンゴの糖質は100gあたり14.3gです。柿はリンゴと同じ量の糖質が含まれます。
1-2-2. 栗と比べて少なめの糖質
果物ではなく種実類に分かれますが、同じ秋の味覚として栗と比較します。栗の糖質は100gあたり32.7gです。柿は栗よりも糖質が低くなっています。
1-2-3. ブドウと比べて少なめの糖質
柿と同じ秋の果物、ブドウの糖質は100gあたり15.2gです。柿はブドウよりも糖質が低いです。
1-2-4. イチジクと比べて高めの糖質
柿と同じ秋の果物、イチジクの糖質は100gあたり12.4gです。柿はイチジクよりも糖質が高いです。
1-3. 脂質は0.2g
柿には他の果物と同様に、脂質0.2gとほとんど含まれていません。
1-4. タンパク質は0.4g
柿には他の果物と同様に、タンパク質0.4gとほとんど含まれていません。
1-5. ビタミンCは70mg
柿にはビタミンCが多く100グラムあたり70mg含まれています。これは成人の1日の推奨量(100mg)の70%にあたります。ビタミンCの多いミカン(うんしゅうみかん)が100gあたり35mgで、柿にはその2倍もビタミンCが入っています。
1-6. β-カロテンは420μg
ベータカロテンは420μg含まれます。
ビタミンAの推奨量は男性850~900μgRAE/日、女性650~700μgRAE/日で、柿100グラムでおよそ半分が摂取できます。
1-7. カリウムは170mg
柿にはカリウムが100gあたり170mg含まれます。カリウムの摂取基準量は~2000mgで、柿100グラム食べると5〜7%摂取できます。
2. 柿の健康効果
柿には次のような健康効果があります。
2-1. ビタミンCで風邪予防・美肌に
柿のビタミンCは100グラムあたり70mgも含まれます。ビタミンCは抗酸化作用によって美肌効果や風邪の予防に役立つとされる栄養素です。
2-2. 食物繊維は便秘解消におすすめ
柿には100gあたり食物繊維1.6g含まれます。食物繊維は腸内環境を整え、便秘解消になります。
2-3. タンニンの抗酸化作用は二日酔いにも効果あり
タンニンはポリフェノールの一種で抗酸化力が強い成分です。二日酔いに良いと言われるのは、タンニンが二日酔いの原因になるアセトアルデヒドと結合しやすく、お酒を飲む前後に柿を食べると、タンニンがアセトアルデヒドを吸着して体外に排出するため二日酔いを防止する効果があると言われています。また、水分とカリウムが含まれるので利尿作用もあります。
2-4. カリウムは血圧を下げる働きがある
カリウムはミネラルの一種で、体内の余分な塩分排出を助ける働きがあります。カリウムの摂取は高血圧の方への低血圧効果や脳卒中リスクの低下が報告されています。
3. 柿を食べるデメリット
健康効果のある柿ですが、食べ過ぎは健康へのデメリットがあります。
3-1. 水分が多く体の冷えに
水分が多いため体の冷えにつながります。体を暖かくして食べるようにしましょう。
3-2. タンニンの影響で便秘になることがある
タンニンは腸の動きを悪くする作用があり、食べすぎると逆に便秘になってしまうことがあります。
3-3. 糖質の過剰摂取になる
果物の中では糖質が多く、取りすぎにならないよう注意が必要です。
4. 柿を食べるときの注意点
柿を食べるときに注意したいことは3つあります。
4-1. 1日の目安は1~2個まで
1日に食べてもいい個数を知っておきましょう。農林水産省の食事バランスガイドには果物の目安を1日200g、また100gの例として柿1個分としています。小さめの柿であれば1日2個まで、200gほどの大きい柿であれば1個あたり約120kcalとなるため、1日1個までにしましょう。
4-2. カリウム制限している方は控える
柿にはカリウムが多く、カリウムの制限がある場合は控えましょう。
4-3. タンニンの摂りすぎに注意
タンニンの摂りすぎで便秘になるのを避けるには、柿と一緒にお茶やワインなどタンニンを含む飲み物を飲まないようにしましょう。
5. 干し柿の栄養成分
甘柿の栄養について説明しましたが、干し柿とは違う点もあります。
5-1. 干し柿は栄養が濃縮され高カロリー
干し柿は渋柿を乾燥させて渋抜きをしたものです。干し柿にすることで栄養素の種類は変わりませんが、生の柿と比べて栄養素の量が変わります。ビタミンCが減って、カロリー、β‐カロテン、カリウム、食物繊維は増加します。
5-2. 干し柿は1日1~2個まで
水分が減ってかさが少なくなるため、生の柿と比べて何個も食べられるように思いますが、成分が濃縮された干し柿は1日の目安1~2個と生の柿と同じ個数です。食べすぎは栄養素の過剰摂取につながるので注意しましょう。
コラム:甘柿と渋柿のちがい
甘柿と渋柿のちがいは、渋味成分です。渋味のもとはタンニンというポリフェノールの一種で、口の中で溶けると渋みを感じます。甘柿のタンニンは、実が熟すと溶けないタンニンに変化し渋味を感じない性質になります。
一方、渋柿は熟しても口の中で溶けるタンニンのままなので渋味を感じます。渋柿は皮をむいて干すことで、溶けないタンニンに変化させることができます。そのため干し柿は渋味を感じません。
甘柿と渋柿のちがいはタンニンの性質で、どちらも渋味成分のタンニンは含まれているのが不思議ですね。
6. 柿の皮・種は食べられる?
柿を食べるとき皮や種は取り除いて実の部分を食べると思いますが、栄養素の多い部分を捨ててしまっている可能性があります。
6-1. 柿の皮は実より栄養が多い
柿の栄養素が多いのは皮と実の間の部分なので、皮ごと食べたほうが効率よく栄養をとることができます。
6-1-1. 皮は熟してからよく洗って食べる
しかし柿の皮は固めで、おいしく食べるには難しいと感じることが多いと思います。できる限り皮を薄くむくようにすると、残る栄養素が多くなるので意識してみてください。また、熟した柿は皮も柔らかくなります。生の皮を食べることに抵抗がある場合は、調理して食べるのもおすすめです。柿の調理方法は次章でご紹介します。
6-2. 柿の種は食べられない
柿の種の栄養成分を調べてみましたが、現時点で栄養成分についての情報は見つけられませんでした。レシピなど食べ方も見つからず、残念ながら柿の種はおいしく食べる方法がないようです。
なお、もし飲みこんでしまうと問題があるという情報もなく、食べても健康に影響はなさそうでした。
7. 柿のおすすめの食べ方
柿をおいしく食べる方法をご紹介します。
7-1. 柿の切り方
柿を切っていて種にあたると切りにくいですよね。次のようにすると種にあたらず切ることができます。
- ヘタを下にして置き、柿の十字の線に沿って包丁がヘタに当たるまで切ります。
- 切れ込みに沿って手で4つに分けます。
- ヘタ側から皮をむきます。
7-2. 保存方法
熟していない柿は、常温保存します。乾燥に弱く、冷暗所でヘタを下にして保存すると新鮮さが保てます。
熟して柔らかくなった柿は冷蔵保存します。乾燥を防ぐため、濡らしたキッチンペーパーをヘタにあてて、密閉できるビニール袋に入れます。
柿は皮をむいたらすぐに食べてしまいましょう。もし切ってから保存したいときは、断面をラップでおおって冷蔵保存します。切って数日中に食べられない場合は、食感は変わってしまいますが冷凍保存することができます。
7-3. 柿を使ったおすすめレシピ
柿はそのまま食べられることが多い果物だと思いますが、調理してもおいしく食べられます。一度は試してほしい柿のレシピを紹介します。
7-3-1. 焼き柿
食べると体を冷やしてしまう柿ですが、焼くことで体を温める効果があります。また加熱すると皮まで食べやすくなり、柿の栄養を効率よく摂取できます。やわらかい柿が好きな人におすすめの食べ方です。
1.柿のヘタの部分を包丁で切り落とす。
2.柿の実に米印のように切り込みを入れる。
3.グリルやトースターで焼く。
4.器にのせて、バターをそえます。
参照:「柿」を生で食べるだけじゃ損!栄養がアップする食べ方とは?【体がよろこぶレシピ】
7-3-2. 柿のココナッツミルクプリン
糖質オフの柿スイーツです。
1.柿は皮をむき、種を取りミキサーにかける。ゼラチンは大さじ2の水でふやかす。
2.鍋に火をかけココナッツミルクを入れ、柿を加える。沸騰直前で火を止め、ゼラチンを加え、よく混ぜる。容器に入れ、粗熱を取り冷蔵庫で2時間以上冷やす。
参照:柿のココナッツミルクプリン(糖質オフ)| レシピサイトNadia
8. まとめ
秋の味覚柿の栄養、健康効果について説明しました。柿は糖質・カロリーが高めですがビタミンC、β-カロテン、カリウムや食物繊維が多く、抗酸化力の強いタンニンが含まれています。健康効果には風邪予防・美肌・便秘解消・血圧を下げる効果に、二日酔いにも効果がありました。
ただし、柿は栄養が多く含まれる分食べすぎに注意です。1日の目安1~2個を守って、おいしく柿の栄養をとりましょう。