改訂日:21/12/16
ヘルシーな食材として知られている大豆食品。その中のひとつ、粉状のお豆腐「粉豆腐」をご存じですか?大豆食品の中で最も栄養があり、様々な料理に使えるお手軽食材として、近年注目されてきています。今回は、粉豆腐とはどういったもので、料理に使うことでどんなメリットがあるのか、粉豆腐を使ったレシピなどをご紹介していきます。
1.粉豆腐って何?
粉豆腐とは一体どういったもので、どうやって作られるのでしょうか。また、他の大豆食品とはどういった違いがあるのでしょうか。
1-1.高野豆腐を粉末状にしたものが粉豆腐
粉豆腐とは、高野豆腐を粉末状にしたものです。煮物として調理されることが多い高野豆腐は、皆さんも一度は食べたことがあると思います。高野豆腐は、生の豆腐を凍らせ、脱水・乾燥させて作られる保存食です。豆腐から水分を取り除く過程で、豆腐に含まれる栄養分が凝縮され、生の豆腐と比べてより多くの栄養分を摂ることができる食材です。つまり粉豆腐は、豆腐の栄養分がぎゅっとつまった粉なのです。
1-2.生の豆腐と比べてタンパク質がたっぷり!
粉豆腐の元となる高野豆腐は、数ある大豆製品の中でもとくに健康に良い食材と言われています。特徴的なのが、タンパク質がたっぷり含まれていること。木綿豆腐と比べると、100g中のタンパク質の量が木綿豆腐は約6g、高野豆腐はその約8倍の50gも含まれています。
粉豆腐に含まれている主な成分は以下のようになります。
エネルギー |
528 kcal |
たんぱく質 |
50.0g |
脂質 |
34.7g |
糖質 |
3.3g |
食物繊維 |
1.2g |
食塩相当量 |
1.9g |
カルシウム |
600mg |
鉄 |
5.9mg |
参考:株式会社みすずコーポレーション 粉とうふ
このようにたんぱく質の他カルシウムや鉄分も豊富に含まれている食材になります。またこれ以外にも「大豆イソフラボン」とうい大豆が持つポリフェノール一種も含まれています。大豆イソフラボンは、女性ホルモンである「エストロゲン」と似た構造をしているためか、同じような働きをします。つまり、女性ホルモンの分泌量が減少することで起こる更年期障害など症状を予防する効果が期待できるのです。
1-3.おからパウダーとの違い
同じ大豆製品で粉物といえば、おからパウダーをイメージする方も多いと思います。おからパウダーと粉豆腐は、何が違うのでしょうか。その違いは、製造工程にあります。
先ほども説明した通り、粉豆腐は高野豆腐を粉末状にしたもの。つまり、豆腐を凍らせて水分を抜き、栄養を凝縮したもののパウダーになります。一方で、おからパウダーは、豆腐を作る過程でできる搾りカス(おから)を乾燥し、細かく粉砕させたものです。
どちらも高タンパク・低糖質の食材ですが、おからパウダーは食物繊維が多いので、トイレの改善に役立ちます。一方、粉豆腐はカルシウムや鉄分などのミネラルが豊富に含まれており、疲れにくい体になりたい方には欠かせない成分です。
粉豆腐やおからパウダー以外にも大豆からの加工品は様々なものにわたります、代表的なものは醤油や味噌ですが発酵を行わないで素材そのものからも様々なものが出来上がります。
- 大豆のそのまま粉にしたものが「大豆粉(きなこ)」。
- 大豆を水に漬けて、水を加えて粉砕してそれを絞った液体が「豆乳」
- 豆乳を絞ったあとの搾りかすが「おから」
- おからを乾燥させたものが「おからパウダー」
- 豆乳をにがりで固めたものが「豆腐」
- 豆腐を凍らせて脱水したものが「高野豆腐」
- 高野豆腐を粉砕したものが「粉豆腐」
このように大豆から様々な食材が作られています。
2.粉豆腐を料理に使うメリット
粉豆腐がどういったものかをご紹介しました。実際に粉豆腐を料理に使うことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
2-1.どんな料理にも使えてお手軽!
粉豆腐の元となる高野豆腐は、生の豆腐と比べて栄養が凝縮されているということは先ほどご紹介しましたが、高野豆腐は煮ものとして食べることが多く、レパートリーがあまりなく飽きてしまうこと、またスポンジのようで苦手という方も多くいらっしゃいます。
粉豆腐は粉末状になっているので、小麦粉の代わりとして揚げ物やスイーツに使ったり、パン粉の代わりとしてお肉に混ぜたりと、和食から洋食、スイーツまで、どんな料理にも使えて便利です。また、みそ汁にひとかけ加えたり、お米と一緒に炊いたりと、普段の食事にプラスすることで手軽に粉豆腐の栄養を摂取することができます。
2-2.糖質をカットできる!
粉豆腐は高タンパクで低糖質な食材です。小麦粉の代わりに粉豆腐を使ったり、肉を半分の量にして粉豆腐でかさ増しすることで、糖質をカットすることができます。
3.粉豆腐にはどんな効能があるの?
1-2でもご紹介しましたが、粉豆腐の元である高野豆腐には栄養成分がぎゅっと凝縮されており、様々な効能が期待できます。
- 綺麗な肌作りに役立つ
- 強くたくましい骨をつくる
高野豆腐に含まれる女性ホルモンと似た働きを持つ大豆イソフラボンは、綺麗な肌づくりに役立つ成分です。その他、強くたくましい骨をつくるために欠かせない栄養分であるカルシウムも、高野豆腐には豊富に含まれています。
粉豆腐は高野豆腐を粉末状にしますが、その過程で栄養が損なわれることはありません。高野豆腐に含まれる栄養分はそのままに、様々な料理でお手軽に体に摂り入れることができます。
4.粉豆腐はどこで買えるの?
粉豆腐には体に嬉しい様々な効能が期待できる成分が含まれていることを紹介しましたが、粉豆腐はどこで手に入れることが出来るのでしょうか。
4-1.スーパーや通販で購入できる
粉豆腐は、スーパーや通販で購入することができます。スーパーでは、高野豆腐や干しシイタケなどが揃う「乾物コーナー」で売られていることが多いです。
スーパーで見つからない場合は、ネット通販でも購入することができます。160gあたり約300円と手ごろな値段で購入することができるので、日々の生活にも取り入れやすいですね。
4-2.自分で作ることもできる
先にもご説明した通り、粉豆腐とは高野豆腐を粉末状にしたもの。高野豆腐をそのまますりおろしたり、フードプロセッサーにかけたりすることで、簡単に粉豆腐を作ることができます。
5.粉豆腐を使ったレシピ
和食や洋食、お菓子まで、どんな料理にも使えて便利な粉豆腐。ここでは、粉豆腐を使ったレシピをご紹介します。
5-1.粉豆腐を使ったおかずレシピ
粉豆腐は、卵に混ぜたり、小麦粉の代わりとして使ったりと、いろんなバリエーションでおかずに摂り入れることができます。
5-1-1.オムレツ
<材料>
- 粉豆腐:30g
- 卵:2個
- ウインナー:2本
- パプリカ(赤・黄):各4分の1
- ブロッコリー:30g
- 塩・こしょう:少々
<作り方>
- 耐熱容器に粉豆腐・水100ccを入れ、レンジで1分30秒加熱して混ぜる。
- ウインナーは小口切り、パプリカは5mm角、ブロッコリーは、小房に分けてレンジで30秒加熱する。
- ボールに卵を溶き、①・②を入れる。
- フライパンにサラダ油を熱し、流しいれて焼いていく。
5-1-2.お好み焼き
<材料>
- 長芋 100g
- オクラ 3本
- ネギ 1/4本
- 高野豆腐 1個
- 水 大さじ3
- 鰹節 ひとつまみ
- お好みソース 適量
<作り方>
- 高野豆腐、長芋はそれぞれすりおろす。オクラ、ネギはそれぞれ小口切りにする。
- ボールに下準備した材料をすべて入れて、鰹節、水を合わせて混ぜる。
- フライパンにサラダ油を入れて熱し、1を焼く。2回に分けて小さく焼きました。
- お好みソース、鰹節、青のりをお好みでかけていただく。
5-2.粉豆腐のスイーツレシピ
甘いものが食べたいけれど、糖質が気になってしまう方も多いのではないでしょうか。粉豆腐を小麦粉の代わりに使えば、糖質をカットしたおいしいスイーツを作ることができます。
5-2-1.クッキー
<材料>
- 粉豆腐 30g
- 薄力粉 70g
- 砂糖 20g
- ベーキングパウダー 小さじ1/2
- サラダ油 大さじ1
- 豆乳 30cc程度
- 粉豆腐、薄力粉、砂糖、ベーキングパウダーをボウルに入れて手で混ぜる。(ふるわなくてOK)
<作り方>
- 大さじ1のサラダ油を少しずつ加えて混ぜていく。
- 豆乳を少しずつ加えて混ぜていく。
- こねすぎないように、生地をまとめていく。
- 生地を棒状に伸ばし、5~7ミリ程度の厚さにカット。
- 170度に予熱したオーブンで、20分~25分程度焼く。
5-2-2.チーズケーキ
<材料>
- クリームチーズ 200g
- 砂糖 60g
- 卵 2個
- 生クリーム 150g
- レモン汁 大さじ1杯
- 粉豆腐 20g
<作り方>
- クリームチーズは常温に戻しておく。型にオイルを塗り、敷紙を敷く。オーブンは180℃に余熱する。
- ボウルにクリームチーズと砂糖を入れ、ヘラでクリーム状になるまで、よく混ぜる。
- 生クリーム、レモン汁、粉豆腐の順で入れ、その都度ハンドミキサーでよく混ぜる
- 生地を型に入れ、180℃で35分~45分程度焼く。
- 粗熱が取れたら、キッチンペーパーを被せ、上からラップし、冷蔵庫に入れ、数時間冷やしてから型から外す。
5-3.粉豆腐を使った離乳食レシピ
<材料>
- 7倍粥 大さじ 2
- 粉豆腐 小さじ 1
- たまねぎ 小さじ 1
- にんじん 小さじ 1
- キャベツ 小さじ 1
- 和風だし 大さじ 1
<作り方>
- 玉ねぎ、にんじん、キャベツを2~3mmの幅で切り、柔らかくなるまでゆでる。
- 小鍋に7倍粥と先にゆでた野菜と粉豆腐、和風だしをいれてひと煮立ちさせて完成。
5-4. 粉豆腐を使った郷土料理 粉豆腐の炒り煮
<材料>
- 粉豆腐 70g
- 鶏ひき肉 100g
- にんじん(細切り) 1/2本
- しいたけ(薄切り) 3個
- 長ネギ(小口切り) 1/2本
- ほうれん草(3cm間隔) 2株
- 卵 1個
- だし汁 400ml
- 油 大さじ1
- 砂糖 大さじ3
- 薄口しょうゆ 大さじ2
- 塩 少々
<作り方>
- 野菜を切り、鍋に油をひいて熱し、鶏ひき肉、にんじん、しいたけ、ネギを炒める。
- しんなりしてきたらだし汁と粉豆腐を加えて混ぜ、フタをして中火で2分蒸し煮する。
- 砂糖、しょうゆ、塩を加えて混ぜ、ふたをして再度2分蒸し煮する。
- ほうれん草を加えて加熱して、水気がなくなったら、溶き卵を入れて炒り煮にする。
6.まとめ
粉豆腐についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。大豆食品の栄養がたっぷりとつまっており、どんな料理にも使いやすいお手軽食材であることがわかっていただけたことと思います。普段の生活にも取り入れやすい食材なので、ぜひ試してみてください