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1.きのこはどれも低糖質で低カロリー
血糖値や体重を整える食事術として、現在注目を集めている糖質制限。糖質を多く含むご飯、パン、麺類など主食を食べる量を控えることがポイントです。かわりに安心して食べられる低糖質食品として、ぜひおすすめしたいのが「きのこ」。しいたけ、ぶなしめじ、えのきたけ、エリンギなど、きのこはどれも糖質量がごく微量でカロリーも控えめです。年間を通して、さまざまな品種が手軽に購入できる点もメリットでしょう。ここでは、そんな低糖質な「きのこ」の徹底解剖します。
1-1.きのこの糖質量を一覧でご紹介
糖質制限を成功させるには、1日3食の糖質摂取量を70~130gにすることが目安といわれています。白米のご飯1杯・150gの糖質量は55.2g、エネルギー量は252kcalあり、食べる量は1日1~2杯にしておきたいところ。それにくらべると、きのこに含まれる糖質量は以下のとおりぐんと少なめです。ご飯を減らすかわりに、きのこ料理でしっかり満腹すれば、糖質の摂りすぎを心配する必要はありません。
主なきのこの糖質量(カッコ内はエネルギー量)
・マッシュルーム50g(5個)…0.1g(5.5kcal)
・きくらげ(乾)5g(10個)…0.7g(8.3kcal)
・生しいたけ50g(5個)…0.8g(9.5kcal)
・まいたけ100g(1パック)…0.9g(15kcal)
・ぶなしめじ100g(1パック)…1.3g(18kcal)
・まつたけ50g(1本)…1.8g(23kcal)
・なめこ100g(1袋)…1.9g(15kcal)
・干ししいたけ10g(5個)…2.2g(18.2kcal)
・エリンギ100g(1パック)…2.6g(19kcal)
・えのきたけ100g(1袋)…3.7g(22kcal)
1-2.きのこには体にうれしい食物繊維も豊富
低糖質・低カロリーであることに加え、きのこには総じて食物繊維もたっぷり含まれています。一般的に食物繊維が多い食品はかみごたえがあるので、早食い・大食いの防止に役立つうえ、満腹感をおぼえやすいのです。さらに、食物繊維は一緒に食べたものの食化吸収を遅らせて、食後血糖値の上がり方をゆるやかにしたり、腸で棲息する善玉菌のエサとなってその数を増やし、腸内環境を整える働きも期待できます。なお、きのこを食べる際は、炒める・煮るなど加熱調理をすることが多いものですが、食物繊維は熱によって減ることはほとんどありません。
主なきのこの食物繊維量(可食部100g当たり)
・きくらげ…5.6g
・まつたけ…4.7g
・生しいたけ…4.2g
・えのきたけ…3.9g
・ぶなしめじ…3.7g
・まいたけ…3.5g
・エリンギ…3.4g
・なめこ…3.4g
・マッシュルーム…2.0g
2.種類別・きのこに含まれている主な栄養素
糖質制限のサポート役としてぴったりで、食物繊維もしっかり摂れるきのこ。一般によく食べられるきのこについて、種類別に栄養面の特長をご紹介しましょう。
2-1.しいたけ
しいたけに含まれているエルゴステロールという物質は、日光に当たることで、骨の形成を助けるビタミンDに変化します。同じく特有成分である、アミノ酸の一種のエリタデニンは、コレステロールや血圧を整える作用があることが知られています。
2-2.ぶなしめじ
皮膚、髪、爪などの再生に関わるビタミンB2、骨を丈夫にするビタミンDのほか、オルニチンというアミノ酸が豊富であることも見逃せません。オルニチンは肝臓の解毒機能を助けたり、筋肉の合成やホルモン分泌にも関わるなど、多彩な働きが近年注目を集めています。
2-3.えのきたけ
食事で摂取した糖質をエネルギーに変えるビタミンB1の含有量が、きのこ類の中でもトップクラスです。その働きを補助するパントテン酸も含まれています。神経の興奮を抑えることから、ストレス対策に期待されているギャバという成分も含まれています。
2-4.まいたけ
免疫力に関わるβグルカンという多糖類が多いことが知られています。肌の水分を保つトレハロース、シミのもとであるメラニン色素の生成を抑えるチロシナーゼ阻害物質など、美容にうれしい成分も含まれていることが話題となっています。
2-5.エリンギ
エリンギに多く含まれているカリウムは、余分なナトリウムを排出して、血圧の安定に働くミネラルです。正常な赤血球を作るために必要な葉酸というビタミンの一種も、きのこ類の中では含有量が多いことがわかっています。
2-6.マッシュルーム
グアニル酸という旨味成分が、しいたけの3倍も含まれています。グアニル酸には血液中の血小板の固まりやすさを整える作用もあります。細胞のサビつきを抑えるセレン、コラーゲンの合成に関わる銅などのミネラルが多いことも特長です。
3.きのこをおいしく賢く食べるためのコツ
体にいいことが盛りだくさんのきのこですが、その健康パワーを十分取り入れるには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、お勧めの摂取量・調理法・レシピを簡単に紹介します。
3-1.きのこは1日どれくらい食べるといい?
健康のためにきのこを食べるなら、1日50~100g(生の状態の重さ)が目安といわれています。ひとつのきのこだけを食べるのもよいのですが、含まれている栄養素の特長は品種によって異なります。複数のきのこを食べ合わせることで、相乗的な作用が期待できるでしょう。
3-2.加熱調理するときはここに気をつける
骨の形成を助けるきのこのビタミンDは、油に溶ける脂溶性の栄養素です。そのため、きのこを油で炒めて調理すると、体内でのビタミンDの吸収率が高まります。特に丈夫な骨作りを意識するなら、ビタミンDとともに、骨の材料となるカルシウムも一緒に摂りましょう。カルシウムが豊富な小松菜、チンゲン菜、大根の葉、干しエビなどと一緒にきのこを炒めたり、ゴマを振りかけて食べるとよいでしょう。一方、鍋やスープなどの料理できのこを食べるときは、汁も余さず飲むことがおすすめです。水溶性のビタミンB群やカリウムが汁に溶け出しているからです。きのこのホイル焼きなどを食べる場合も、しみ出た水分まで残さないようにいただきましょう。
3-3.糖質制限中の主食におすすめのきのこご飯
糖質制限中だけれど、今日は主食のご飯をしっかり食べたい。そんなときは手軽に作れるきのこの炊き込みご飯がおすすめです。きのこの分だけご飯のかさが増すので、白米だけのご飯とくらべて、同じ1膳でも糖質の摂取量を3割ほど減らすことができます。きのこの食物繊維が糖質の吸収を遅らせて、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれるので一石二鳥といえます。
きのこの炊き込みご飯の作り方
①炊飯器に洗って水気を切った米1合を入れて、水を2合の目盛まで入れる。塩小さじ1/2を入れて軽く混ぜる。
※好みで料理酒、しょう油、顆粒の和風だしなどで味つけしてよい。
②きのこ180g(しいたけ、ぶなしめじ、まいたけ、エリンギ、えのきたけなど好みのものを適宜)を食べやすい大きさに切って、炊飯器に入れて炊く。
③炊き上がったら混ぜ合わせて茶碗に盛る。
4.まとめ.
低糖質・低カロリーで栄養満点のきのこは、糖質制限を成功に導くお助け食材。料理の香りや歯ごたえを増すための名脇役でもあります。好みのきのこをおいしく活用すれば、血糖値と体重のコントロールがよりスムーズにできることでしょう。