古くから栄養価の高い食べ物として、私たちの食生活に馴染みのある納豆。体に良いイメージや、免疫力を高めるために発酵食品を取り入れたい方が多くいらっしゃると思いますが、実際にはどのような栄養素が含まれているのかご存知でしょうか。納豆は、別名「畑の肉」と呼ばれている大豆がもとになっており、良質な植物性のたんぱく質など、五大栄養素が全て含まれています。しかし、食べれば食べるだけその栄養を吸収できるとは限りません。効果や注意点など、正しい知識を学び、栄養を効率よく摂取しましょう!
1.納豆について
1章では納豆に関する基本的な情報をご紹介していきます。種類や製法の他、納豆の歴史についても触れているので、是非ご覧ください。
1-1.納豆とは、納豆菌によって発酵させた大豆のこと
納豆は、煮る・蒸すなどして柔らかくした大豆を、納豆菌によって発酵させた発酵食品です。1年を通して、スーパーなどで安価に手に入れることができ、健康食品としても注目を集めています。
市販されている納豆の1パックには、大体40〜50g程の納豆が入っています。カロリーは付属のたれも含めて80〜100cal、たんぱく質量は6.6〜8.3gです。これは、高たんぱくとして知られている鶏肉50gと同等の数値なので、納豆1パックでバランス良くエネルギーやたんぱく質を摂取することができます。
1-1-1.伝統的な製法から近代的製法へ
昔ながらの伝統的な製法は、蒸した大豆を稲の藁づとで包み、40度程度で保温したものを約1日おきます。すると、藁に付着している納豆菌が大豆に移り、菌が増殖することで発酵され、納豆が出来上がります。
この納豆用の藁には一定の長さと品質が求められ、手作業で丁寧に刈り取った稲を自然乾燥させた物が必要となりますが、現代では農業の機械化や農家の高齢化により、製法は時代に沿って変化しています。
近代的製法では、大量生産を可能にするため純粋培養した納豆菌を用いる製造が主流となっています。蒸した大豆に純粋培養した納豆菌の分散液をかけ、発泡スチロール容器や紙パックに充填します。40〜42度で6時間程度保温すると、納豆菌の増殖に伴う発酵熱で温度が上昇するため、18〜24時間経過後、冷却により発酵を止めます。アンモニア増加を防ぐため、10度以下で出荷されています。
1-1-2.発酵食品としての歴史
日本における納豆の起源としては様々な説がありますが、飛鳥時代に聖徳太子が馬の飼料として残った煮豆を藁で包んで置いたら出来上がった説や、平安時代に源義家が兵糧として大豆を煮ている最中に、敵から襲撃を受けたため、煮た豆を藁に包み、戦の後に藁を開くと出来上がっていた説などがあります。いずれも納豆菌による発酵がもととなっていますね。
納豆といえば茨城県の水戸市が有名ですが、これは源義家説が関係しているようで、水戸市郊外にあった長者の屋敷に泊まった際に納豆ができたことから、発祥の地とされたのだとか。似たような話は日本各地に存在しており、どれが正解かの確証はないですが、ずっと昔から何らかの形で食べられてきた伝統の発酵食品であることは分かります。
1-1-3.納豆の種類は粒の大きさによって決められている
納豆は粒の大きさによって種類が決められています。大粒>中粒>小粒>極小粒>超極小粒>ひきわりの順で小さくなります。中でも小粒納豆は、お米の粒の大きさに近いためご飯と一緒に食べやすいです。
原料となる大豆の粒の大きさについては、農林水産省の農産物規格規程によって、大粒直径7.9mm(品種によっては8.5mm、9.1mmもある)、中粒直径7.3mm、小粒直径5.5mm、極小粒直径4.9mmと定められており、丸めのふるいを使って振り分けます。
☆ひきわり納豆について
ひきわり納豆は、大豆を細かく砕いてから納豆菌をまわしかけて発酵させるため、納豆菌が繁殖する表面積も広くなります。粒納豆と比べ、発酵が早く、消化にも良いとされています。またひきわり納豆には、粒納豆をはるかに超えるビタミンK、そしてビタミンB群、鉄分、銅、食物繊維などが豊富です。
〜コラム:納豆の日〜
毎年7月10日は「納豆の日」とされています。初めは、納豆に苦手意識を持つ人が多い関西圏での消費拡大のために語呂合わせで決められたものでしたが、1992年、全国納豆工業共同組合連合会により正式に納豆の日として制定されました。
1-2.納豆に含まれる豊富な栄養
納豆が身体に良いとされていることは分かっていても、具体的にどんな栄養素が含まれているのか、意外と知らない方が多いと思います。ここでは納豆の栄養素とその働きについて詳しく解説いたします。
1-2-1.ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼとは、納豆のネバネバのもと(ポリグルタミン酸)となる納豆菌に含まれる酵素です。たんぱく質を分解する役割があります。
1-2-2.大豆イソフラボン
大豆の胚芽部分に多く含まれる抗酸化物質の1種です。細胞にダメージを与える「活性酸素」の働きを抑制してくれます。
1-2-3.たんぱく質
たんぱく質は筋肉や皮膚、髪の毛など体をつくる上で重要な栄養素です。また、体を機能的に働かせるためのホルモンや酵素、体を守るために働く免疫体をつくる材料となっています。
1-2-4.食物繊維
食物繊維は第六の栄養素として重要視されています。水溶性と不溶性の2種類に分けられ、小腸で消化・吸収されずに、大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。
1-2-5.ミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、カリウム)
カルシウム:人体に最も多く含まれるミネラルであり、骨や歯を形成します。骨格を構成する重要な物質であるため、不足すると骨が十分に成長せず、骨粗鬆症の原因にもなります。
マグネシウム:リンやカルシウムと共に骨を形成するほか、体内のさまざまな代謝を助ける機能を持っています。300種類以上の酵素を活性化する働きがあり、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整にも役立っています。
鉄:赤血球のヘモグロビンに多く存在するミネラルで、血液中の酸素の運搬や細胞の呼吸において重要な役割を担っています。女性は月経で鉄が失われやすいため、積極的に摂取したい栄養素ですね。
亜鉛:さまざまな酵素の構成成分として重要なミネラルで、たんぱく質やDNAの合成、細胞の新陳代謝に関わります。亜鉛は体内に貯め込むことができず、不足しがちな栄養素で、意識して摂取しないと味覚障害や皮膚炎、脱毛などの症状が起こります。
銅:鉄と共に血をつくる働きを担う栄養素です。赤血球の形成を助け、多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素です。鉄を体内で利用できるように変える代謝に関わり、貧血を予防する効果があります。
カリウム:細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。ナトリウムを体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。
1-2-6.ビタミンB群(B2、B6、葉酸、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸)
ビタミンB2:脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。水溶性ビタミンですが、酸や熱には比較的安定しており、調理による損失は少ないです。
ビタミンB6:たんぱく質の分解を助けます。またエストロゲンの代謝に関わり、ホルモンのバランスを整える働きがあります。赤血球の合成にも役立つため、月経前症候群(PMS)の症状をやわらげる働きがあります。
葉酸:赤血球の生産を助けるビタミンです。細胞の分裂や成熟を大きく左右するため、特に胎児にとっては重要な栄養成分であるといえます。妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができます。
ビオチン:ビタミンB群に属する水溶性の糖質や脂質、アミノ酸の代謝やエネルギーをつくり出す役割を担っています。その他、皮膚や粘膜の健康をサポートする働きもあります。
ナイアシン:ナイアシンはニコチンアミドとニコチン酸という2種類の物質のことですが、トリプトファンにより体内でもつくられています。エネルギーをつくり出したり、脂質やアミノ酸の代謝をサポートします。
パントテン酸:もともとは酵母の成長を促進する物質として発見されました。パントテン酸は体内で活性化され、エネルギー産生に重要な役割を果たしている成分です。善玉コレステロールを増やしたり、ホルモンや抗体の産生などにも関与しています。
1-2-7.ビタミンK
血液凝固に関与する作用のあるビタミンです。血液凝固因子であるプロトロンビンが肝臓で生成されるときに、補酵素として働くのがビタミンKです。そのためビタミンKが欠乏すると、血液中のプロトロンビンが減少し、血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなります。
1-3.納豆に含まれる栄養成分の計算方法
文部科学省が定めている「日本食品標準成分表」を用いて栄養成分ごとに含まれている量の算出方法をご紹介いたします。「日本食品標準成分表」には食材それぞれの100gあたりの成分値が収載されています。それに基づいて、料理や食品の栄養価を計算していきます。
【計算方法】
①料理に使用する全ての食材や調味料の重量を量る。(※重量とは実際に食べられる可食部のみを量ること。)
納豆の場合は、たれ以外の可食部の総量になります。
②「日本食品標準成分表」から該当する食品を探し出す。
③「日本食品標準成分表」に掲載の成分値を用いて、食品や調味料それぞれの重量当たりの栄養成分量を計算していく。
☆計算式☆ 「日本食品標準成分表」に記載された成分値×食品の分量(g)÷100(g)
(例)糸引き納豆40g(1パック)当たりに含まれるたんぱく質の量
16.5×40g÷100g=6.6g
2.納豆の効果・効能
1章では納豆に含まれる栄養素について解説いたしましたが、その栄養素が実際にどのような効果をもたらしてくれるのかご紹介していきます。
2-1.健康に関する効果
ここでは私たちの健康に関わる効果をご紹介していきます。豊富に含まれる栄養素が、たくさんの嬉しい変化をもたらせてくれます。
2-1-1.血栓を溶かすことで血液サラサラに
ナットウキナーゼには、血栓(血管の中に出来る血の塊)の主要な成分であるフォブリンを分解する作用があります。
血糖値が高い状態が続くと、血壁に負担がかかって血管は傷ついていきます。そして血管の傷ついたところにコレステロールなどが溜まると、プラーク(脂肪などからできた粥のようなもの)ができます。そのプラークがなんらかの拍子で破裂すると、血栓ができ血管を塞いでしまいます。血管内が塞がれてしまうと、脳梗塞や心筋梗塞といった合併症の発症リスクが一気に高まるのです。
ナットウキナーゼは、直接血糖値に影響を与えるものではありませんが、納豆を食べることは糖尿病の合併症を予防する一つの手段として効果的といえます。
2-1-2.高血圧を抑制する
上記でご紹介したように、ナットウキナーゼは血栓を溶かしてくれます。これにより、全身の血液がスムーズに流れることによって、ドロドロとした血を防ぎ、結果として高血圧の予防に繋がります。またムチンが豊富なことで、糖や脂肪を吸収せず、そのまま便として外に排出されるため高血圧を抑制します。
2-1-3.認知症予防
多目的コホート「JPHC研究」グループにより、大豆食品をよく食べている人と食べていない人を比較し、認知症の発症との関連が調査されました。(European Journal Of Nutritionに研究結果掲載)
男性では総大豆食品および個々の大豆食品やイソフラボンと認知症リスクとの関連はみられなかったものの、女性では納豆の摂取が多いグループで、認知症リスクが低下する傾向がみられました。また、年齢を60歳以上と未満で分けて調べたところ、とくに60歳未満の女性では、納豆摂取と認知症リスク低下との関連が有意にみられた、という結果が出ています。
2-1-4.免疫力向上により風邪やインフルエンザを予防する
納豆に含まれる納豆菌は、大腸に届くと乳酸菌などのエサとなり、腸内細菌の活動をサポートします。免疫に関わる細胞の6割以上は腸に存在しているため、腸内環境を改善することが免疫力のアップに繋がると考えられます。
またナットウキナーゼが血栓を溶かし、血液がサラサラになることで、免疫細胞を体内のすみずみまで行き届かせる効果も望めることから免疫力の向上に期待できます結果として、風邪やインフルエンザの予防にも繋がりますね。更に、納豆菌はノロウイルスや大人風邪の原因菌のひとつとされるライノウイルスの予防効果も期待できるといわれています。
2-1-5.消化への効果と便秘解消
納豆菌は熱にも壊れにくく、腸内では善玉菌の働きをして腸内での発酵を進めていきます。腸内で善玉菌が増えることで臭いが弱く、軟らかい便になるため、便通が良くなります。善玉菌は食物繊維によって増えやすくなるので、納豆は腸内環境を整えるのに適した食品といえます。
2-2.美容に関する効果
納豆には美肌づくりに嬉しい効果をもたらします。大豆イソフラボンは抗酸化作用が期待されるポリフェノールの1種で、ポリフェノールは若々しい肌を保つためのアンチエイジングに欠かせない成分です。また大豆レシチンが豊富に含まれており、老廃物を排泄する働きがあるため、肌荒れやニキビなどの肌トラブルのケアに効果的です。
3.ライフスタイルへの良い影響と悪い影響
2章で納豆にはたくさんの嬉しい効果があることが分かりましたが、反対に納豆を取り入れることでデメリットはあるのか気になりますよね。また食品ですので、妊娠中の女性や赤ちゃん、子供にも食べさせて良いのか?という点にも着目されると思います。
3-1.デメリットや注意点
納豆を取り入れる中で注意したい点が2つあります。特に2つ目に該当する方は、少量でも納豆を食べてはいけませんので、シビアな問題です。
3-1-1.食べ過ぎに注意
いくら栄養豊富な食品でも、食べ過ぎは身体に悪いです。納豆にはプリン体が含まれており、このプリン体は体内で尿酸に代謝します。プリン体を摂り過ぎると、血液中の尿酸値が高くなり痛風のリスクへと繋がります。
またヘルシーな納豆ですが、意外にもカロリーはそこまで低くないです。1パックで付属のたれも含めると100cal程で、例えば毎食納豆を取り入れると、100cal×3食=300calとなります。これはおにぎり2個分とほぼ同等のカロリーですので、ヘルシーだからといって食べ過ぎると、かえって太ってしまう心配があります。
他の食品を食べている量にも関係してくるため、明確に決めることは難しいですが、食事バランスを考えると1日5パックまでは許容範囲といえます。とはいえ、バランスの良い食事を心がけるには、1日1パック程度が理想でしょう。
3-1-2.抗凝固剤を服用している人は危険です
抗凝固剤(ワルファリンなど)を服用している人が納豆を食べると、血栓ができる可能性があるため危険です。
抗凝固剤はビタミンKの働きを邪魔して、血液を固まりにくくすることで血栓を防いでいます。しかし、大量のビタミンKを摂取すると、薬の作用が極端に低下し、血栓ができてしまいます。納豆はビタミンKの含有量が多く、簡単に大量摂取ができてしまうため、納豆巻き一口でも厳禁です。
参照:医療者とともにMEDICALTRIBUNE 健康ニュースあなたの健康百科 「納豆を食べてはいけない」のはどんな人?|あなたの健康百科|Medical Tribune (medical-tribune.co.jp)
3-2.妊娠中の納豆摂取に関して
納豆を食べることそのものについては、妊婦さんへの悪影響はありません。ただし、食べ過ぎには注意が必要です。
納豆の原料となる大豆には「大豆イソフラボン」という成分があります。このイソフラボンを摂り過ぎることで、胎児の発育遅延や、産まれてからアレルギーになる可能性があるようです。またホルモンバランスが乱れたり、乳がんの発生を高める可能性があるなど、ママの体にも良い影響を与えないことが分かっています。
しかし、大豆イソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」のような働きをする特徴があり、若々しさや美肌効果など女性に嬉しい効果があります。適切な量を摂り入れることが大事です。
3-3.子供の成長や高齢者に関する効果
子供や高齢者が納豆を食べるべき理由は、カルシウムを豊富に含んでいることです。カルシウムは骨の成長に欠かせない栄養素ですが、子供に限らず、日本人の大半はこのカルシウムが必要量摂れていません。近年、子供の骨折は30年前の2倍になっています。これは、屋内で過ごす時間が増えたことによる運動不足が原因と考えられていますが、栄養バランスの偏りも一つの要因です。
また、高齢者は運動量の低下により、年齢と共に大腿骨頚部の骨密度が下がっていきます。これにより骨折のリスクが高まります。
カルシウムは吸収率が悪く、十分な量を摂取することが難しい栄養素です。しかし、納豆にはポリグルタミン酸というカルシウムの吸収を助ける成分が含まれているため、大人はもちろん子供たちにも積極的に納豆を食べてほしいですね。食べ方については4章でご紹介していますので、ぜひそちらをご覧ください。
4.正しい食べ方とアレンジレシピ
手ごろで簡単に取り入れることができる納豆ですが、食べ方によっては得られる効果が変わってきます。また、年齢によっても注意する点がありますので詳しくご紹介していきます。
4-1.基本的な食べ方
納豆はいつ食べるかによって、効果に変化があります。なんとなく朝食のイメージがあり、朝の納豆も体にとても良いですが、夕食(夜)に納豆を食べると更に健康効果が高いといわれています。
夜に食べることで、
・ナットウキナーゼが、睡眠中の血栓から守る
・ビタミンB群が成長ホルモンに働きかけることで、22~2時の「睡眠のゴールデンタイム」中に肌の修復力を高める
・ジコピリン酸が、睡眠中に増殖する口の中の細菌を抑制する
上記のような効果が高まります。
また夜食べる場合は、粒納豆よりもナットウキナーゼを多く含んでいる「ひきわり納豆」がおすすめです。
4-1-1.気をつけるべき食べ合わせ
様々な健康効果をもたらす納豆ですが、食べ方によってはせっかくの栄養をダメにしてしまいます。以下に注意してください。
①冷蔵庫から出してすぐに食べない
冷たい納豆ではナットウキナーゼが機能しないため、冷蔵庫から出して常温で20分程おきましょう。
②熱々のご飯に乗せない
ナットウキナーゼは50度以上で働きが弱まり、70度以上になると死んでしまいます。少し冷ましたご飯に乗せるか、納豆とご飯は別皿で食べてください。
③生卵(白身)と一緒に食べない
卵の白身に含まれるアビシンというたんぱく質は、美肌をサポートするビオチンの吸収を抑制してしまいます。ただし黄身にはアビシンが含まれていないため、黄身との食べ合わせは問題ありません。
4-2.赤ちゃんへ与えられる時期とポイント
栄養豊富な納豆ですが、何歳から食べて良いのでしょうか。赤ちゃんへ納豆を与えられる時期と、納豆をそのまま食べられるようになる年齢についてお話ししていきます。
赤ちゃんに納豆を与えられる時期の目安は、離乳食初期を過ぎて中期に差しかかる、生後7〜8ヶ月を迎えた頃です。離乳食デビューを終えた赤ちゃんであれば、以下の方法に注意して、安全に納豆を食べることができます。
①加熱をする
味噌こしに納豆を入れ、熱湯をかけて軽く湯通しします。
②細かく刻み、少量で様子を見る
歯が生え揃っていないため細かく刻み、離乳食中期は10~15g、後期は20gを目安に様子を見ます。
③付属のたれを使わない
食品添加物の他、塩分や糖分が含まれているため、たれでの味付けは避けてください。
④いつでも病院に行ける状況が安心
発酵食品の納豆はアレルギーの可能性が低いとはいわれていますが、何かあってからでは遅いので、すぐに病院を受診できる万全な状況にしておきましょう。診療時間も考えると、お昼頃までに与えることをおすすめします。
生後9ヶ月頃の離乳食後期を迎えた赤ちゃんは、前歯と歯ぐきを使って食べ物を噛めるようになるため、納豆を刻むことなくそのまま与えられるようになります。ただし、この時も付属のたれは使用しないでください。
☆付属のたれは何歳から使用できるのか?
残念ながら、納豆にははちみつのように、1歳になってからなどといった明確な年齢が定められていません。そのため、お父さんお母さんが判断したタイミングでたれをかけてください。ネット上での意見にはばらつきがあり、早ければ1歳、遅いと2歳になってもまだ使用していないという意見があります。
しょうゆなどの調味料は風味付け程度なら離乳食後期から使われるようになるので、納豆のたれも同じ感覚で、1歳頃が目安でしょう。
4-3.賞味期限と保存方法
賞味期限と消費期限の違いについて、賞味期限が美味しく食べられる期間で、消費期限は安全に食べられる期間です。一般的に、納豆の日持ちは1週間前後のものが多いため、賞味期限で表示されています。
☆冷蔵庫で保存した納豆の賞味期限は、1週間程度です。
☆冷凍庫で保存した納豆の賞味期限は、約1カ月とされています。冷蔵品に比べると、食感がやわらかくなることもありますが、冷凍保存も可能です。
<保存方法>
納豆は冷蔵庫で保存することを推奨されています。納豆菌は10℃以上の温度で発酵が進み、強いアンモニア臭を発生させるため納豆本来の風味を損なってしまいます。品質の低下を防ぐためにも冷蔵庫で保存しましょう。
冷凍庫で保存する場合には、パックごとでも良いですが、乾燥や臭い移りを防ぐためにラップで包んだり保存容器に入れて密閉することをおすすめします。湯煎や電子レンジでの納豆の解凍は、品質が落ちるので、前日から冷蔵庫へ移して自然解凍をするのがおすすめです。
4-4.アレンジレシピ
納豆は付属のたれと共にそのまま食べることが一般的ですが、ひと手間加えることでより納豆の美味しさを引き立てることができます。納豆が苦手な方も、アレンジ次第では好みのレシピが見つかるかもしれませんよ。
4-1―1.至高の納豆パスタ
X(旧:Twitter)の投稿で料理研究家として活動を始め、現在はyoutubeやTVでも大活躍されているリュウジさんによるレシピです。至高シリーズは私も大好きで、いつも参考にさせてもらっています。火を通すと、納豆特有のにおいや味が薄くなるので、においやねばねばが気になる方にもおすすめです。
<材料(1人前)>
・水 320cc
・醤油 小さじ2
・味の素 4振り
・塩 1つまみ
・パスタ(1.4mm) 100g
・バター 10g
・納豆 1パック
・小ネギ お好みの量
・刻みのり お好みの量
<手順>
①水320ccを沸かし、醤油、味の素、塩を入れ沸騰させる。
②沸騰した水にパスタを入れ、中火で5分煮る。
③煮汁が飛んだら、バターと絡め、お皿に盛りつける。
④納豆を付属のたれとからしで混ぜ合わせたら、③のパスタに乗せる。
⑤トッピングで小ネギと刻みのりをふりかける。
☆ポイント☆
・納豆に含まれるナットウキナーゼは熱に弱いため、直接火を加えることは避けて下さい。
・味変として黒胡椒をふりかけると、一品で違った味わいを楽しめます。
参照:料理研究家リュウジのバズレシピ.com 至高の納豆パスタ 至高の納豆パスタ – 料理研究家リュウジのバズレシピ.com (bazurecipe.com)
4-1-2.レンジで簡単☆豆腐と納豆のキムチグラタン
こちらのメニューは簡単に作れて、栄養満点なので忙しい方のダイエット飯にもおすすめです。私もよく作るお気に入りのメニューです。
<材料(1人前)>
・木綿豆腐 1パック
・納豆 1パック
・卵 1個
・キムチ お好みの量
・チーズ 1枚
・白だし 大さじ1
<手順>
①木綿豆腐の水気を切る。
②耐熱皿に納豆、付属のたれ、卵、白だしを混ぜ合わせたら、豆腐を入れざっくり混ぜ合わせる。
③②をなめらかな状態にし、キムチ、チーズをトッピングする
④レンジで600W、3分チンする。(トースターでも可)
⑤仕上げにブラックペッパーを振りかける。
☆ポイント☆
②のたれにニンニクチューブを入れたり、トッピングにマヨネーズを追加しても美味しいです。
4-1-3.妊婦さんへおすすめ、酢飯で作る納豆巻き
妊娠中はつわりの影響で、料理をする気力が湧かなかったり、食事の時間や内容も滅茶苦茶になりがちですよね。先輩ママさんたちは、納豆を食べることで「とりあえず赤ちゃんのために少しは栄養が摂れた」と、自分の罪悪感が減り、気持ちが楽になっていたそうですよ♪
<材料(4本分)>
・ごはん 一合
・すし酢 大さじ2
・焼きのり 2枚
・納豆(ひきわりが好ましい) 1パック
・大葉(お好みで) 3枚
<手順>
①焼きのりを半分に切る。
②ボウルに納豆、付属のたれを入れて混ぜる。
③別のボウルにごはん、すし酢を入れて切るように混ぜる(酢飯)。
④巻きすに焼きのりを1枚と、1/4量の酢飯をのせ、上1cm程残して全体に広げる。
⑤1/4量の納豆を手前にのせ、巻きすごと手前から押さえながら巻く。
⑥焼きのりがしんなりするまで置いたら、ぬらした包丁でお好みに等分する。
☆ポイント☆
あたたかいごはんをお使いください。また、納豆に細切りした大葉を混ぜると、大葉の風味ですっきりとした味わいになるのでおすすめです。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。納豆には、皆さんの想像以上に、豊富な栄養素が含まれていたのではないでしょうか。特に納豆独自の成分であるナットウキナーゼは、納豆がもたらすたくさんの嬉しい効果に関与しています。1日1パック程を目安にバランスの良い食事を心がけ、健康的な体を手に入れましょう!