オリゴ糖は糖質制限中に食べてもOK!積極的に食べたほうが健康的!

糖質制限中は甘いものを食べたくなり、砂糖の代替物としオリゴ糖を使いたいと思う人もいるかもしれません。ただオリゴ糖の名前には「糖」がついているし糖質制限中に食べてもいいものなのなのか迷っている人も多いことでしょう。確かにオリゴ糖は糖質ですが、一般的に言われている糖質とは少し性質が異なります。実はオリゴ糖も種類によっては体内に吸収されにくいという性質があり、その性質により糖質制限中でもオリゴ糖は食べても大丈夫なのです。

1、オリゴ糖は糖質の仲間

オリゴ糖は糖質の仲間ではありますが、オリゴ糖の中には一般的に言われている糖質と性質が大きく違っているものがあります。ではオリゴ糖にはどのような性質があるのかをご紹介します。

1-1 オリゴ糖は糖質と考えなくて大丈夫

一般的に、食べても消化されにくい性質を持つ難消化性オリゴ糖をオリゴ糖として指していることが多く、市販されているものもこの難消化性のオリゴ糖であることが多いです。そのため、以降は難消化性のオリゴ糖のことをオリゴ糖とします。

このオリゴ糖ですが、消化吸収されにくくカロリーも低いことが特徴で、さらに様々な健康効果が期待されています。

細かく言うと、糖質には、もうそれ以上分解されない単位である単糖類、単糖が2個くっついた2糖類、2~10個程度つながった少糖類、10個以上単糖がくっついている多糖類などがあります。オリゴ糖はそのうちの少糖類に分類されます。つまり、厳密にいえば2糖類、3糖類、種類によっては多糖類もオリゴ糖に含まれます。つまり2糖類である上白糖なども実はオリゴ糖ということになります。かなり幅広い定義ですが、この中でも工業的によく用いられ、体にもいいといわれているものがあります。それこそが難消化性のオリゴ糖です。

参考:独立行政法人 農畜産業振興機構 

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット (オリゴ糖)

ちなみに簡単な図で表すと下記図のような形になります。

1-2 消化されにくいから糖質制限中でも難消化のオリゴ糖なら食べても大丈夫

オリゴ糖は人の消化酵素では分解できず、吸収されません。そのため糖質制限中だとしても食べることができます。

むしろオリゴ糖は腸内細菌の餌となり善玉菌を増やしてくれます。その結果、腸内の環境が整えられ、痩せるための重要な物質(短鎖脂肪酸)をたくさん作ってくれます。そのため積極的に食べたほうがいいといえます。

糖質制限において重要なのは、糖質により血糖値を上昇させないことにあります。腸内で善玉菌の餌となるため、オリゴ糖は体内に吸収されにくく血糖値を上昇させないからです。血中のインスリンが上がるということもありません。

参考:オリゴ糖研究所 

1-3 オリゴ糖はエネルギーにはならない

糖質は食べた後、体内の消化酵素で分解され体内に吸収され、体を動かすためのエネルギーとして利用されますが、オリゴ糖は人の消化酵素で分解されることはありません。分解されずに大腸まで達します。大腸まで達した後は、腸内細菌がオリゴ糖を代謝し酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸と呼ばれるものを生成します。

酪酸は、大腸粘膜上皮細胞の栄養となり蠕動(ぜんどう)運動を促進したり、腸管内を酸性に保つ機能があります。その結果、腐敗物質が出来るのを防いだり、便通を改善してくれたりします。食物繊維によく似た性質を持っています。

参考:腸がよろこぶ直物性乳酸菌のチカラ

まとめると糖質は腸内で消化され体内に取り込まれ、体を動かすためのエネルギーなる役割があり、オリゴ糖は腸内で消化され体内に取り込まれることはなく、腸内細菌によって姿を変え腸内の環境を改善する役割があるということになります。糖質といえども積極的に食べたほうがいいものになります。

1-4 オリゴ糖により善玉菌を増やすことでダイエット効果が期待できる

オリゴ糖はビフィズス菌をはじめ乳酸菌などの善玉菌を増加させる機能があります。善玉菌が増加する際に、腸内細菌はオリゴ糖を別の形に変化させます。その変化した形が短鎖脂肪酸です。この短鎖脂肪酸には様々な健康効果をもっています。その一つが、ダイエット効果です。

短鎖脂肪酸は脂肪細胞へのエネルギーの取り込みを阻止することで、脂肪をため込むことを防ぐことができます。またインスリンを分泌する膵臓β細胞数の減少を抑えたり、インスリン分泌を促す作用をもつ腸管内のホルモンの分泌を促す効果を持っています。

そのためオリゴ糖により腸内細菌を増やすことは、ダイエットにもつながるというわけです。つまり糖質制限中においても、オリゴ糖は用量を守り積極的に食べたほうがいいともいえます。

参考

H. Yadav, et al. (2013). “Beneficial Metabolic Effects of a Probiotic via Butyrate-induced GLP-1 Hormone Secretion”

木村郁夫 (2014). 腸内細菌叢を介した食事性栄養認識受容体による宿主エネルギー恒常性維持機構”. YAKUGAKU ZASSHI 134 (10): 1030-42

2 糖質制限中でも食べれる難消化性のオリゴ糖は7種類

難消化性のオリゴ糖は、オリゴ糖の中でも特に重要で、工業的にもよく利用されていることが多いものになります。市販されているもので7種類あります。各々の甘味度も記載しておきますが、あくまでも市販されている製品における甘味度です。

2-1 フラクトオリゴ糖

砂糖を原料とし、酵素を作用させて作ります。人の消化酵素で分解されにくく、腸内細菌の餌となり、増殖を促進します。また悪玉菌の増殖を防ぐということも報告されています。玉ねぎ、ごぼうなどの野菜類に多く含まれています。また甘味度は砂糖の30-60%程度と言われています。

2-2 ガラクトオリゴ糖

乳糖をアルカリで処理して作ったもの。腸内細菌の増殖を促進し、たんぱく質の消化吸収を手助けしてくれる。くせのない甘味を持ち、甘味度は製品によって異なるが、砂糖の25~35%である。

2-3 イソマルトオリゴ糖

はちみつ、しょうゆ、みそ、みりんなどに含まれている。ほかの難消化性のオリゴ糖と比べると腸内で消化吸収されるが、でんぷんなどに比べると消化はされにくい。腸内のビフィズス菌を増やし、有害菌の抑制、腐敗産物の減少などの作用により腸内環境を改善する働きがある。甘味度としては砂糖の40-50%程度となる。

2-4 乳果オリゴ糖

牛乳に含まれる乳糖とサトウキビに含まれるショ糖から生成されたものになります。甘味の質は、オリゴ糖の中では砂糖に最も近いものになります。甘味度は、乳果オリゴ糖の含有率の低いものほど高く、55%以上有のもので砂糖の約50%である。市販の物にはショ糖や乳糖も含まれるため、乳果オリゴ糖含量が少ないものほど甘味度は高くなる。高いもので80%の甘味度になります。

消化されにくく、摂取しても血糖値の上昇や、インスリン分泌にほとんど影響を与えない。また、腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、便の性状を改善する働きがある。

2-5 ラフィノース

砂糖にガラクトース(単糖類の一種)が結合したオリゴ糖で、てん菜に含まれ、てん菜糖の副産物である糖みつから分離精製されています。てん菜のほか、大豆、ユーカリ樹液など植物界に広く存在している。甘味の質は砂糖に近く、甘味度は砂糖の約20%である。

2-6 キシロオリゴ糖

砂糖と同様の甘味の質を持ち、甘味度はキシロオリゴ糖の含有率に応じて、砂糖の2540%程度となっている。 消化されにくく、低カロリーである。また、腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、腸内環境を改善する働きがあり、他のオリゴ糖よりも少量の摂取で効果が得られます。

2-7 大豆オリゴ糖

大豆のたんぱく質を利用した後の残りかすから作られるオリゴ糖です。このオリゴ糖を1日3g食べると、腸内のビフィズス菌が数倍に増加するほうこくもある。甘味度としては砂糖の70%程度であり、甘味度としては非常に高いものになります。一般的なオリゴ糖と比べても消化されづらく、そのために効果が高いといわれています。

また大豆に含まれていることから、毎日の食事の際にも摂取しやすいオリゴ糖です。

3 糖質制限中のおすすめオリゴ糖

3-1 糖質制限中に砂糖の代替物として使いたいときはフラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖がおすすめ

代表的なオリゴ糖は7種類ありますが、すべてにおいて砂糖などの糖質よりも体内に吸収されにくい特徴を持っています。そのためどのオリゴ糖においても糖質制限中は食べても大丈夫ということになりますが、なかでも、フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖は砂糖の甘味の質に近いことが知られています。

 

フラクトオリゴ糖は腸内環境を整えることに優れ、善玉の腸内細菌を増殖させてくれます。また最も工業的に利用されており、ほかのオリゴ糖が持つ性質をほとんど持っているオリゴ糖になります。

キャンハートサプリメントより販売のフラクトオリゴ糖がおすすめ。製品の95%がフラクトオリゴ糖であり、ほかの甘味料がほとんど入っていません。

http://www.canheart.co.jp/kenko/index.html

乳果オリゴ糖は、カロリーがほかのオリゴ糖と比べても低いことが特徴です。しかし、市販品にはほかの甘味料が混ざっている場合も多いのでその点では注意が必要です。

3-2 糖質制限中は甘味料があまり添加されていないものを買いましょう

どのオリゴ糖においても甘味度としては砂糖よりも甘くはありません。また甘味度が高いものも中にはありますが、おそらくほかの甘味料をいれて甘くしているものだと思われます。実はオリゴ糖は基本的にそこまで甘くありません。ほんのり甘い程度に考えておきましょう。

糖質制限中の場合、オリゴ糖を購入する際は、ほかに甘味料が使われていないかしっかりと確認し購入しましょう。糖質制限やダイエット中でなく、あくまでも健康のためにオリゴ糖を食べる場合はあまり気にする必要もないでしょう。

参考

オリゴ糖― 現在の市場での動きと課題― J. April. Glycosci., 50, Suppl., 50-54 (2003)

独立行政法人 農畜産業振興機構

幻冬舎 GOLD ONLINE

オリゴ糖研究所

4、糖質制限中にオリゴ糖をうまく活用するための方法

糖質制限中にオリゴ糖を活用しようにもどのようにして活用したらいいのか、またどのくらいの量をどのタイミングで飲むのがいいのかわからないということもあると思いますので、ここでご紹介します。

4-1 1日の摂取量は1~10gにしましょう

オリゴ糖には様々な効果がありますが、これらの効果をうまく発揮するための目安量としては、1日1~10g程度が推奨されています。特定保健用食品(トクホ)においては、下記図の量を守ったものでなければ、トクホとして販売はできません。

引用:消費者庁 健康や栄養に関する表示の制度について

この値は、安全性が高く、かつ有効性が確認できる値として設定されています。様々な研究の結果を統合し、この値が定められています。

そのためトクホ以外の食品からオリゴ糖を摂取する場合であっても、この目安量を一応の基準とすることで適切な摂取量とすることができるでしょう。これ以上の摂取は慎重になるべきだし、これよりも極端に低い量だと期待できる効果も少ないと考えるべきなのです。

4-2 食べるタイミングはいつでも大丈夫

オリゴ糖を食べるタイミングですが、これはいつでも大丈夫です。というのも、オリゴ糖は別に食事に含まれる糖質を抑えてくれるわけでもありませんし、分解されにくいため体内には入りずらいことも間違いありませんので、夜中に食べても問題ないはずです。

5、おすすめのオリゴ糖の食べ方

オリゴ糖がいくら太りにくいといっても、甘さを感じない分たくさん食べてしまう可能性があります。そうならないためにも食べ方には工夫が必要です。

5-1 乳酸菌が入っている食品と一緒に食べる

善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌を含んだヨーグルトなどの食品と一緒に食べることで、オリゴ糖が大腸内でこれら善玉菌のえさとなり善玉菌を増やす手伝いをしてくれます。

ヒトの臨床試験ではなく、豚での試験においてですが、乳酸菌とオリゴ糖を合わせて豚に食べさせたところ、

善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌の数が増加し、反対に悪玉菌の数は減少したという報告があります。

このことから、ヨーグルトのように乳酸菌を含有しているようなものと一緒に食べることで、相乗効果を得ることができると考えられます。

乳酸菌が入っている食品といえば、味噌やぬか漬けなどありますが、オリゴ糖との組み合わせの場合はヨーグルトと一緒に食べるのがおいしく食べれそうですのでお勧めです。

参考: Bomba, A., et al. “Improvement of the probiotic effect of micro-organisms by their combination with maltodextrins, fructo-oligosaccharides and polyunsaturated fatty acids.” British Journal of Nutrition 88.S1 (2002)

5-2 バナナなどの食物繊維が豊富なものと食べる

食物繊維と一緒にオリゴ糖を食べることで、様々な相乗効果を発揮します。食物繊維の種類によってその効果は異なりますが、基本的には腸内の環境を整えることに役立ちます。より善玉菌の量を増殖させたり、悪玉菌の増殖を防いでくれる効果を増強してくれます。

参考:オリゴ糖研究所

~興味のある方は~

オリゴ糖についてをもっと詳しく説明すると・・・・

難消化性のオリゴ糖は、人の消化酵素では分解できない性質を持っています。この性質は食物繊維によく似ています。食物繊維の定義は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)において「食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質」とされています。つまりオリゴ糖も食物繊維に含まれることになります。しかし一方で、「食品表示基準について(平成27 3 30 日消食表第139 号)」の「別添 栄養成分等の分析方法等」では、「基本的にはプロスキー法(酵素重量法)によって定量されるもの、すなわち熱安定αアミラーゼ、プロテアーゼ及びアミログルコシダーゼによる一連の処理によって分解されない多糖類及びリグニンを食物繊維とする」とあります。これによると難消化性のオリゴ糖も少糖類ですので食物繊維ではないということです。

 また消費者庁の特定保健用食品の許可制の「特定保健用食品とは」において、関与成分がオリゴ糖の表示できる保険用途として「オリゴ糖がビフィズス菌を増やして腸内の環境を良好に保つので、おなかの調子を整えます。」を表示できるとあります。一方で食物繊維を関与成分とした場合は同じことは言えません。つまり別々のものとして判断されています。

オリゴ糖の中には分解できるものありますし、また分解できない難消化性のオリゴ糖は、食物繊維の定義によっては食物繊維に分類されたりされなかったりしますので、今のところオリゴ糖の明確な分類はないといってもいいかもしれません。

<参考>

文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC

消費者庁 健康や栄養に関する表示の制度について

6、まとめ

いかがでしたでしょうか。オリゴ糖は糖質の仲間ではありますが、その効果は全く異なっています。反対にダイエット効果も持っていますので積極的に食べたほうがいいでしょう。ですが、食べすぎには注意しましょう。しっかりと用量を守り食べましょう。