よく聞くけど、あまり知らないポリフェノールとは?種類や効能などについて解説

ポリフェノールという言葉はほとんどの人が聞いたことがある言葉かと思います。何となく健康に良かったり、食品に含まれているというイメージはあっても、どんなものかよく知らないという人も少なくはないのでしょうか。今回はポリフェノールという成分について説明していきます。

1. ポリフェノールとは

ポリフェノールは、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分で、ポリフェノールは、8000種類以上もあると言われています。

チョコレートの「エピカテキン」、赤ワインの赤色「アントシアニン」や、緑茶の「カテキン」、カレーのスパイスであるウコンの黄色い色素「クルクミン」、大豆の「イソフラボン」等、すべてがポリフェノールの仲間になります。「クロロゲン酸類」は、コーヒーに含まれるポリフェノールの代表です。ワインや茶の渋み成分も、実はポリフェノールのことです。

1-1.ポリフェノールは抗酸化作用を持つ

ポリフェノールは、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があり、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEと同様に強い抗酸化作用があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立つといわれています。

そもそも、抗酸化とは釘が酸化して茶色く錆びたり、リンゴが酸化して茶色く変色して腐るように、人間のカラダも酸化します。カラダが酸化すると、カラダの老化や血管の老化が進んだり、シミやシワ、肌あれなどの肌トラブルが起こったり、生活習慣病やがんの引き金になったりと、さまざまなトラブルの原因になると言われています。『抗酸化』とは、これらの元凶となる「カラダの酸化を抑える」ということです。

ポリフェノールにはこの酸化を抑える抗酸化の作用を持っているため、健康に良いと考えられています。

1-2.ポリフェノールは植物しかもっていない

ポリフェノールは植物にしか含まれていない成分ですがこれは、植物にとって、紫外線、低栄養、塩、乾燥、これらの外から身を守るために作られています。こうした外部からの影響に対抗するために、植物は大切なエネルギーを使って、ポリフェノールをはじめとする物質をつくっています。

植物が陸上に生息する上で、最初に必要なものが紫外線から身を守るための手段です。そのため最初の陸上植物は紫外線対策のために、ポリフェノールの合成能力を獲得したのです。このように植物は動けないため、身も守るための手段を獲得した結果、植物しかポリフェノールを持っていないのです。

 

2. ポリフェノールの種類

ポリフェノールは8,000種類以上あるといわれていますがその代表的なものが、

  • アントシアニン(赤ワイン、ブルーベリー、なす、カシス、ブドウ)
  • カテキン(緑茶、紅茶)
  • カカオポリフェノール(ココア、チョコレート)
  • ルチン(そば、かんきつ類、玉ねぎ)
  • フェルラ酸(玄米)
  • イソフラボン(豆類)
  • クロロゲン酸(コーヒー)
  • クルクミン(ウコン)

またポリフェノールの含有率は食品によって違います。ポリフェノールが多く含まれている食品は以下のようなものです。

食品

ポリフェノール含有量(㎎)/100g

高カカオチョコレート(カカオ70%)

2247

ミルクチョコレート

533

赤ワイン

230

コーヒー

200

緑茶

115

紅茶

96

トマト・野菜ジュース

69

ココア

62

ごぼう

49

ほうれん草

42

ウーロン茶

39

豆乳

36

ブロッコリー

35

フルーツジュース

34

大豆

15

ブドウ

12

麦茶

9

引用:健康長寿ネット ポリフェノールの種類と効果と摂取方法

チョコレートが一番ポリフェノールの含有量が多く、次いで赤ワインという結果になります。健康のためにポリフェノールをできるだけ取りたいという人はこの表を参考にしてみましょう。ただし、チョコレートは脂質や糖分が多く含まれているため、ポリフェノールをとりたいからとチョコレートを大量に食べた場合、カロリーの摂り過ぎになってしまうので、食べる量い注意するようにしましょう。

 

3. ポリフェノールの効果

植物毎にポリフェノールを持っていますが、ポリフェノールとひとくくりにされています。しかし、それぞれ効能が違っており、アントシアニンなら視力回復、カテキンなら血圧の低下など、効果が違っています。先に上げたポリフェノールは以下のような効能が知られています。

・アントシアニン(ビルベリーやブルーベリーなどのベリー類)…視力回復
網膜に存在するロドプシンというタンパク質はアントシアニンによって再合成が促され、目の機能の改善が期待できる。

・カテキン(緑茶)…殺菌作用・抗菌作用
カテキンには抗菌作用があるので食中毒の原因となるO-157(腸管出血性大腸菌)などの食中毒菌や胃潰瘍や胃がんの原因となるピロリ菌の増殖もおさえるので、食中毒予防や胃潰瘍予防に働きます。

・カカオポリフェノール(チョコレート)…血圧低下、動脈硬化予防
カカオポリフェノールには血管を広げる作用があります。血管に炎症があると血管が狭くなり血液の流れが悪くなりますが、カカオポリフェノールを摂取することで血管の炎症が軽くなり、血管が広くなるため。

・ルチン(蕎麦)…毛細血管強化作用
ルチンには毛細血管を強くする働きがあり、血流も良くなります。脳卒中の予防などに役立ちます

・フェルラ酸(米、麦などの穀類(玄米など無精製のもの))…美容作用
フェルラ酸の構造がアミノ酸の一種であるチロシンに似ています。メラニンの生成抑制はチロシンとの拮抗作用なので、フェルラ酸も同様に考えられます。メラニンを抑制できることでシミやシワ予防ができ、美白が期待できます。

・イソフラボン(大豆)更年期障害を予防・改善
イソフラボンの化学構造が女性ホルモンであるエストロゲンとよく似ており、不足したエストロゲンに代わってその受容体と反応し、補足的に働くために更年期の症状が楽になると考えられています。

・クロロゲン酸(コーヒー)…脂肪の消費
クロロゲン酸を摂取することで脂肪の消費量がアップすることで、内臓脂肪が低減します。

このように、ポリフェノールの種類によって得られる効果効能は変わります。自身がどのような効果が欲しいかに応じて摂取するポリフェノールを決めるようにしましょう。

3-1. ポリフェノールの効果を高める摂取方法

ポリフェノールは、『健康のためにどれだけの量を摂取すればよいか』という厳密な量は、まだハッキリとわかっていません。

人にお茶を飲ませてから2時間の間は悪玉コレステロールの酸化が防げたというデータや、赤ワインとココアを摂取することで、酸化までの時間が長くなったという検証結果は出ています。また、ポリフェノールは短時間で作用するのですが、長時間はその効果が持続しないということが分かっています。

つまり、ポリフェノールの効果は長持ちしないため、こまめに摂取することが効果的といわれています。たとえば朝9 時にお茶を飲んで、また12時に飲むという具合にこまめに摂ってポリフェノールを切らさないことが重要といわれています。

3-2.ポリフェノールを摂るときの注意点

ポリフェノールを摂ろうとしたのときにケーキなどの甘いものを一緒に食べてしまうと効果が弱まってしまうといわれています。ポリフェノールは、抗酸化作用だけでなく脂肪の吸収を抑える作用も持っているので、甘いものなどを同時に摂取してしまうと脂肪吸収を抑える作用のほうが強くなり、抗酸化作用が疎かになってしまうからです。

脂肪の吸収を抑えるというのも大事な作用ですが、動脈硬化の予防でお茶を飲むときには、お茶単体で飲むほうが効果的なポリフェノールの取り方になります。

 

4. まとめ

このようにポリフェノールは本来植物が過酷な環境から身を守るために作った成分になります。そのため抗酸化作用が強く、それを摂取することで私たちに様々な健康効果をもたらしてくれる可能性があります。

その効果は摂取するポリフェノールの種類によって様々ですが、ポリフェノールは8,000種類以上もの種類があるため自分の目的に合ったポリフェノールを摂取するようにしましょう。

また、ポリフェノールは短時間で作用するのですが、効果が長くもたないことが分かっています。効果的にポリフェノールの成分をとりたいときには34時間ごとにポリフェノールを摂取するようにしましょう。