糖質といえば、ご飯やパンやパスタなどを思い浮かべる人が多いと思います。また野菜の中でも糖質が多い野菜はといわれるとまっさきに出てくるのが、じゃがいもを思い浮かべる人も多いかと思います。確かにじゃがいもの糖質は高いです。糖質制限中は避けるべき食材の1つです。しかし、実際に全く食べてはいけないのかというとそうではありません。食べ方さえ工夫したら、糖質制限中でも食べれる食材になるのです。ここでは、じゃがいもの糖質量から、その品種による違いやおすすめの食べ方をご提案します。
1 じゃがいもは糖質をたくさん含む野菜
じゃがいもには、やはり多くの糖質が含まれています。しかし、その品種やじゃがいもの加工品により、糖質はやや異なってきます。この章では、一般的なじゃがいもの糖質から品種別のじゃがいもの糖質量から加工品までの糖質量をご紹介します。
1-1 じゃがいもの糖質量は100g中約16g
じゃがいもの糖質量は100gで約16g程度です。茶碗1杯のご飯は大体100gの量です。これに含まれる糖質量は58.9gですので、1/3.7の糖質量になります。こう聞くと意外と少ないようにも思えてきます。ただ100gというと実際にどのくらいの量なのかよくわかりませんので、次でご紹介します。
1-1-1 じゃがいも100gは実際にはどのくらいの量?
じゃがいもには、大中小の規格があります。産地により大きさの規格は異なりますが、生産量の多い北海道では、以下の表の通りに規格されています。糖質量と気になるカロリーも追記しています。
サイズ |
1個の重量 |
糖質量 |
カロリー |
L |
120g以上 190g未満 |
19.2g以上~30.4g未満 |
91.2kcal以上144kcal未満 |
M |
70g以上 120g未満 |
11.2g以上~19.2g未満 |
53.2kcal以上91.2kcal未満 |
S |
30g以上 70g未満 |
4.8g以上~11.2g未満 |
22.8kcal以上53.2kcal未満 |
この表を見る限りでは、食事の際はMサイズだと2~3個は食べているように思えます。つまり、2~3個食べているということは、ご飯1杯はじゃがいもだけで食べているという計算になりますので、食事の時は、茶碗2杯は食べていることになります。糖質100gで約16gだと侮ってはいけないということです。
1-2 ジャガイモの品種は何でもOK
じゃがいもは、大きく分けると3つの系統に分けることができます。ほくほく系、もっちり系、しっとり系の3つです。それぞれ品種もあり、その品種量はほくほく系で36品種、もっちり系で10品種、しっとり系で6品種もあります。多くの品種がありますが、その糖質量には、大きな違いはありません。食べる際は、すきなじゃがいもを食べましょう。
1-3 その他イモ類の糖質量は?きくいもはおすすめ
じゃがいもの糖質量はわかりましたが、その他のイモ類はどうなのか気になってきます。一般的なイモ類の糖質量を比較しました。
イモ類 |
糖質量 |
きくいも |
12.8g/100g(小2個) |
さつまいも |
30.3g/100g(中1/2本) |
さといも |
10.8g/100g(中2個) |
長いも |
12.9g/100g |
片栗粉 |
7.3g/9g(大さじ1) |
糖質だけでみると、やはりさといもがおすすめです。ただし、きくいもにはイヌリンと呼ばれる成分が多く含まれています。イヌリンはお腹が空きにくくなる、血糖値の上昇を抑制するなどの効果があるといわれています。そのためきくいもであれば、きくいも自体に含まれている糖質は気にする必要はありません。
2 実はじゃがいもは糖質制限向き
じゃがいもの糖質量はやや高めです。しかし、実は食べ方やその栄養素に注目したら、糖質制限中でも問題なく食べることができます。
2-1 冷やしてレジスタントスターチに
デンプンが冷えると、でんぷんの一部がレジスタントスターチという分解物に変わります。じゃがいもの主成分はデンプンになります。そのため、レジスタントスターチも多く含まれることになります。レジスタントスターチとは人間の小腸などでは消化されずに大腸まで届くでんぷんのことです。「レジスタント」(消化されにくい)+「スターチ」(でんぷん)という意味で、「難消化性でんぷん」などとも呼ばれています。
温かいデンプンだと小腸で消化吸収がすすみますが、レジスタントスターチに分解化された冷たいデンプンだと、小腸で消化吸収されることなく大腸まで届くので、一部が便として排出されることから、痩せやすくなります。
このことから、温かいデンプンは消化吸収が良く、血糖値を急激に上げてしまいます。それにより脂肪が付きやすくなります。
一方で、冷たいデンプンは消化吸収を抑え、血糖値を緩やかな曲線のように急激に上がることがなく、糖質制限にはぴったりの食材です。
2-2 実は糖質制限に向く栄養素が豊富
糖質の代謝を促す「ビタミンB1」、糖質・脂質・タンパク質の代謝に関わる「ビタミンB2」や「ナイアシン」、タンパク質の分解・合成に欠かせない「ビタミンB6」、元気な血液をつくるのに大切な「葉酸」、糖質や脂質の代謝に関わる「パトテン酸」、コラーゲン生成に欠かせない「ビタミンC」など多くのビタミンがじゃがいもに含まれています。このことから、糖質制限中に起こりやすい栄養不足も解消されますし、糖質の消化も促してもくれるため、じゃがいもは糖質制限中にぴったりの食材であることがわかります。
2-3 満腹になりやすい効果が糖質制限にぴったり
最近の調査では、「満腹指数」がご飯(白米)の2.5倍も高いことがわかりました。つまり、同じ量を食べても、じゃがいもは満腹感があるため糖質制限向きの食材といえます。このようなことからもご飯の代わりにじゃがいもを食べることがおすすめです。
引用:じゃがいも問題研究所
3 おすすめの食べ方は冷やして食べる
やはりレジスタントスターチの効果には期待したいところです。そのため、基本的には冷やして食べることがおすすめです。冷やしておいしく食べれるレシピをご紹介します。
3-1 豆腐とじゃがいもの冷製ポタージュ
【材料】
じゃがいも1個
豆腐150g
牛乳150ml
おろしにんにく1〜2g
鶏ガラスープの素小さじ1弱
黒胡椒1つまみ
パセリ2gくらい
オリーブオイルお好みで
塩お好みで
【作り方】
1じゃがいもを洗って水気を拭き取ったら、十字に浅く切れ目を入れてから、キッキンペッパーに包み、その上からラップで包む。
2 1のじゃがいもを600Wのレンジで3分くらい加熱する。
※時間は目安。レンジによって多少異なるので調整してください。
3柔らかくなったら、皮をむく。
4ミキサーに、豆腐、牛乳、すりおろしにんにく、鶏ガラスープの素、3のじゃがいもを入れてスイッチオン。
5器に流し入れて、黒胡椒、パセリをちらしたらできあがり。
3-2 冷やし塩じゃがいも
【材料】
じゃがいも 3個
塩 少々
水 500cc
【作り方】
1じゃがいもをざく切りにし、切れたじゃがいもから順に塩を少々入れた水の入ったボウル(分量外)に浸していきます。全部切り終えたら、じゃがいもを鍋に移し入れ、水が入った鍋で茹でます。
2食べやすい固さに茹で上がったらザルにあげて、じゃがいもをボウルに入れ、熱いうちに塩を振り入れて混ぜます。冷蔵庫で冷たくなるまで冷やしてできあがり。
4 じゃがいもを使うときの3つの注意点
糖質制限中にもぴったりのじゃがいもですが、もちろん注意しないといけないこともあります。
4-1 有害な成分が含まれている
注意しておきたい栄養成分ももちろんあります。それはじゃがいもの芽の部分や、緑色をした皮の部分にはポテトグリコアルカロイドという物質が含まれています。これは有毒な成分です。多量にポテトグリコアルカロイドを摂取すると頭痛や腹痛や嘔吐の症状が現れます。これらは、下処理の段階できっちりと処理しましょう。
4-2 糖質がなくなるわけではない
デンプンがレジスタントスターチにかわりますが、すべてが変わるわけではありません。冷やしたからといって沢山食べることは避けましょう。
4-3 食べるのは1日Mサイズ2個程度に
1日に5~6個など食べ過ぎたり、白米のようなご飯を食べた後に、またじゃがいもをたくさん食べるのはおすすめできません。そのため、冷やしたり、白米をじゃがいもに置き換えて食べるなど工夫しながら食べるようにしましょう。
5 まとめ
いかがでしたでしょうか。じゃがいもの糖質量は100gで約16gです。また、品種も様々ありますが、その糖質量は変わりませんのでじゃがいもを選ぶ際は品種は気にせずサイズに気を付けながら選ぶようにしましょう。またじゃがいもは冷やすことで糖質制限にピッタリの食材に変化します。食べるときはできるだけ冷やしてから食べたり、冷製レシピをうまく活用しながら食べることがおすすめです。有害な成分や食べすぎなどには十分に注意して、じゃがいもを糖質制限に活用しましょう。