「ランチの後、ひどく眠くて仕事に集中できない」「食後にだるさに襲われて動けず、そのまま横になって寝てしまう」そんな経験はありませんか?実はそれ、食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」が原因かもしれません。血糖値はご飯を食べると必ず上がるものなので、誰でも少なからず、食後に眠気を感じることはあって当然です。ですが、ひどい場合には、耐え難い眠気に襲われて、仕事や生活にも影響してしまうことがあります。今回の記事では、食後の眠気と血糖値の関係を分かりやすく説明し、その原因と対策について徹底解説いたします!
目次
1. 食後のひどい眠気。その原因とは?
多くの人が経験したことのある食後の眠気。夜しっかり寝たはずなのに、どうして食べた後はあんなに眠くなるのでしょうか?ここでは、そんな気になる眠気の原因を解説します!
1-1. 食後の眠気の原因は、血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」
食後に強い眠気を感じる場合、血糖値の急上昇が起きていることが考えられます。血糖値とは、血液の中にどれぐらい糖分があるのか、を表す数値です。私たちがご飯を食べると、食べた物に含まれる糖分が吸収されて、血糖値が上がります。吸収した糖分は、血液によってカラダのさまざまな場所へ運ばれて、エネルギーとして使われます。これは私たちが生きていくための大切なメカニズムです。
血糖値は、食事のリズムによって、1日の中で穏やかに上がったり下がったりします。これ自体は、カラダの仕組みなので問題ないのですが、短時間で血糖値がぐっと上がるような、急上昇がおきてしまうと、悪い影響がでてきます。これが「血糖値スパイク」と呼ばれる現象です。血糖値のグラフが、食後にトゲ(スパイク)のように急上昇することからこの名がついています。そしてこの血糖値スパイクの恐ろしいところは、血糖値が急上昇したそのあと、今度は逆に血糖値の急降下が起きて、ジェットコースターのように上がったり下がったりを繰り返してしまうことです。このときに私たちはひどい眠気に襲われます。人によっては身体に強いだるさを感じて、食後はぐったり。しばらく動けないほどの影響を受けることがあります。なぜ血糖値スパイクによって眠気が生じるのかは、正確には明らかになっていないようですが、少なくともこの血糖値の乱高下が起きると、私たちは「強い眠気」に襲われることが分かっています。
2. 食後の眠気を防ぐためには?
食後の眠気の原因が、「血糖値スパイク」であることは分かりました。では、眠気を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか?そうです!「血糖値スパイクを防ぐ」ことで、食後の眠気を防ぐことができます。食後もしっかりと集中できるように、ここからは、血糖値スパイクの防ぎ方について、順番に解説していきます。
2-1. 血糖値の急上昇を防ごう!
繰り返しになりますが、食後の眠気対策の基本は、血糖値の急上昇を防ぐことです。これから、生活の中で簡単にできる工夫をいくつかご紹介します。いずれも今日からすぐに実践できる、簡単な方法です。それらを組み合わせることで、しっかりと食後の血糖値対策ができるのです。
2-1-1. 食事の30分前に水を500ml飲む
2-1-2. 野菜から食べる
2-1-3. 血糖値を上げにくい低GIのものを食べよう
3つ目は、血糖値を上げにくい低GI値の食品を食べるようにすることです。GI値のGIとはグリセミック・インデックスの略で、「その食べ物がどれぐらい血糖値を上げやすいのか」を表す数値です。Maxは100で、数字が高ければ高いほど、血糖値を上げやすい食べ物となります。一般的には、GIが70以上ものは高GI食品、56~69の間のものは中GI食品、55以下のものは低GI食品と言われます。分かりやすい例でいうと、お米の場合には、白ご飯が88と高GIなのにたいして、玄米は55と中GIになります。パンも精製された小麦で作られた普通の食パンなどではなく、全粒粉を使ったパンの方が、血糖値が上がりません。
低GI(55以下) | 中GI(56~69) | 高GI(70以上) | |
穀類 | そば、スパゲッティ、押し麦、春雨 | 玄米、コーンフレーク |
白米、パン、餅、せんべい、お粥、赤飯、バターライス |
果物 | リンゴ、イチゴ、メロン、グレープフルーツ、ミカン | パイナップル、柿、ブドウ | 果物ジャム、缶詰 |
野菜 | 葉物野菜、ブロッコリー、ピーマン、キノコ類 | さつまいも | じゃがいも、里いも、長いも、人参 |
乳製品 | 牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター | アイスクリーム | 練乳 |
2-1-4. 箸置きを使ってゆっくりたべる
次も簡単にできる方法で、「ゆっくり食べる」です。早食いをすると、糖も一気に吸収されてしまうため、血糖値の急上昇につながります。なので、ゆっくり食べるだけでも、血糖値の上昇は抑えられるのです。ひとつ工夫としては、箸置きを使って、毎回箸をおくようにすると、自然とゆっくり食べられます。また、テレビやYouTubeの動画を見ながら、のんびり食事することもひとつの方法です。
2-1-5. 食べ終わったら、散歩など軽い運動をする
そして最後は、「食べ終わった後に軽い運動をする」です。この軽い運動は、例えば散歩など本当に軽い運動で大丈夫です。食べた後すぐに軽くカラダを使うことで、筋肉で糖が消費されて、血糖値が上がりにくくなります。お家にいるときは、掃除機をかけたり、お皿洗いをするなどでも大丈夫です。おススメの方法としては、家の近所のお店で外食して、歩いて帰るようにすると自然に、血糖値の上がりにくい生活スタイルになります。
3. あまりにひどい場合は、糖尿病の疑いあり!
ここまで、血糖値スパイクによる食後の眠気のメカニズムと、対策についてご紹介してきました。簡単な工夫で血糖値の上昇を穏やかにすることができると、ご理解いただけたと思います。ですが、もしこれらを実践しても、抗いようのないほど強い眠気を、長期にわたって感じる場合には、糖尿病などの疾病の可能性もでてきます。
3-1. ほかにもこんな症状があるときは要注意!
糖尿病とは、血糖値が正常な範囲を超えて高い状態が、続いてしまう病気です。糖尿病になると、血液の中に糖が増えすぎて、血管を傷つけるなど、健康へのリスクが高まります。耐え難い眠気もその症状の一つですが、他にも以下のような症状が起きていないか、確認してみてください。
・強烈な喉の渇きが治まらず、とにかく水をたくさん飲む
・猛烈な体のだるさを感じる
・手や足のしびれ
3-2. 糖尿病の心配があるときは、まずは内科へ!
もしこれらの症状など当てはまっている場合は、糖尿病などの疾病の可能性があります。心配がある時には、早めにお医者様へ相談することが大切です。特に糖尿病は初期の自覚症状が少なく、深刻化するまで気づきにくいという特徴がありますので、早めの対策が重要です。
4. まとめ
ということで今回は、食後の眠気、その原因と解決策をご紹介しました。ポイントは、いかに血糖値の急上昇を防ぐかでしたね。激しい運動や、極端な食事制限はストレスもたまりますし、なかなか長続きしません。まずは簡単にできる小さな工夫から始めてみましょう。小さな工夫をおさらいすると、
・食事の30分前に水を500ml飲む
・野菜から食べる
・血糖値を上げにくい低GI食品を食べる
・箸置きを使ってゆっくり食べる
・食べ終わったら散歩など軽い運動をする
でした。ぜひそれぞれの工夫を習慣化して、心も血糖値も穏やかな生活を、元気にお過ごしください。